LANケーブルにはどんな種類のものがある? 種類による違いは?

LANケーブルにはどんな種類のものがある? 種類による違いは?

パソコンの通信を行うためのケーブルの種類の1つとして、LANケーブルがあります。 このLANケーブルのLANというのは、Local Area Networkの略称で、簡単にいえば短距離における通信網のことです。

新しいパソコンを購入した際にデータの転送を行いたい場合や、インターネットに有線接続する場合などに使用されます。 ただ、パソコンについてそれほど詳しいことを知らないという方にとっては、種類が多いのが難しい点です。 それぞれのケーブルについての知識がないと、どれを選んでよいかわかりません。

ここから先では、LANケーブルの種類について簡単な分類を紹介し、その上でどのようなものを選択するのが適しているのかについて紹介します。

LANケーブルの種類。CAT分類にはどのような違いがある?

LANケーブルの種類についてはいくつかの分類方法が存在しています。 その中でもよく取り上げられることになるのが「CAT」です。CATというのはカテゴリーの頭文字をとったもので、2019年現在最新のLANケーブルはカテゴリー8と呼ばれるものです。 カテゴリーには5、5e、6、6A、7、7A、8という種類があり、それぞれの種類によって様々な違いがあります。

カテゴリー5のケーブル

最初に紹介するのはカテゴリー5のLANケーブルにです。このケーブルの特徴となっているのは、4組の線が対となりケーブル被覆の中に収められているという点です。

いずれの線についても平衡的な接続が行われているのが特徴的で、外部からの干渉があったとしても問題なく通信値を維持することができるのが強みです。

ただし、規格としては古いもので、現在使用することを考える場合にはデメリットも多くあります。

まず、通信速度の制限が低いことです。

カテゴリー5のLANケーブルの通信速度は最大で100メガビーピーエスです。 これは昨今の光回線が中心となっている回線速度で考えるとかなり低い数字で、通信速度のボトルネックとなります。

1ギガビーピーエスが出る光回線を使用していても、ケーブルの最大通信速度までしか速度が出ないためです。

カテゴリー5eのケーブル

カテゴリー5eは、前述したカテゴリー5の上位互換的な存在です。 具体的には遠端漏話に関する規定が追加されています。

通信制限のがカテゴリー5のものから大幅に上昇しており、1ギガビーピーエスまで受け入れることができるようになりました。

この速度は現在のインターネット回線速度と照らし合わせても十分な高さとなっているため、現在の環境でも十分使用していくことができます。 ただし、カテゴリー5eのLANケーブルにも弱点があります。それは、遠距離の通信には適していないという点です。その規定の関係上、最長でも100メートルまでしか接続させることができません。

これは家庭内で使用する分には十分な長さです。

しかし、オフィス内での接続のような場面で使用する場合は、その長さについても考慮しておく必要があります。

カテゴリー6のケーブル

カテゴリー6は前述のカテゴリー5、及びカテゴリー5eに比べて、減退率や漏話が発生しにくい状態で通信を行うことができるようになっています。

UTPケーブルの長さは最大で37メートル、または55メートルという規定となっており、これはカテゴリー5eのものよりもさらに短いものです。

その関係上、使用することができる場所はある程度限られることになります。

また、カテゴリー6にはカテゴリー6A(オーグメンテット)とカテゴリー6eという2つのバリエーションが存在しています。6Aについては、無印のカテゴリー6に比べて2倍の周波数を扱う様になっているのが特徴です。

カテゴリー6eについては、5eのように正式な後継ケーブルではありません。こちらはケーブルメーカーが独自規格として用意しているものであり、正式な基準の中にはカテゴリー6eという分類は存在していないことには注意が必要です。

カテゴリー7のケーブル

カテゴリー7は従来までのLANケーブルとは形式が違う、ツイストペアケーブルという方式を採用しています。

上記のカテゴリー5、6とは互換性があるものの、STPケーブルの場合のみで、UTP系の機器とは必ずしも互換性があるとは限りません。 そのため、これまでに使用していた機器がそのまま使用できるかどうかは別途チェックをする必要があります。

このカテゴリー7のケーブルは、これまでのケーブルのメリットをいずれも実現できるようにしているような性質を持っています。まず通信速度については最大で10ギガビーピーエスとなっており、これは従来のものの10倍という数値です。

また、高速回線に関しては長距離通信が難しくなるというのが従来における常識でしたが、こちらのカテゴリー7は100メートルを越えて接続をすることも可能となっています。

現状では逆にこの性能を活かし切ることができるような環境はあまりありません。

しかし、今後さらにインターネットの高速化が進んでいくことや、周辺機器の対応が進んでいくことを考えるのであれば意味があります。 早い段階から導入しておくことで、後になって対応させやすくなります。

カテゴリー7Aのケーブル

カテゴリー7のLANケーブルにも6と同じくオーグメンテットのカテゴリー7Aが登場しています。こちらは単一線としているのが特徴で、上限周波数を100メガヘルツにまで引き上げています。

この結果として50メートルの範囲内であれば最大で40ギガビーピーエスまでの通信を可能としており、極めて高い通信速度を実現できます。

カテゴリー8のケーブル

カテゴリー8のLANケーブルは2019年4月現在最新のものです。通信速度は40ギガビーピーエスで、伝送帯域が2000メガヘルツと従来の規格と大きく違います。

次世代型のギガビット・イーサネットである40GBASE-Tに対応しているのが特徴です。 通信エラーを防ぐための二重のシールド構造を採用することで高速通信における安定性を高めています。

しかしながら、現状ではまだ対応機器が少ないのが難点で、ケーブル自体も販売店舗は限られています。

UTPケーブルとSTPケーブルの違いは?

上記の中でも何度か登場した言葉として、UTPケーブルとSTPケーブルがあります。 これは端的に言えばケーブルの規格の違いなのですが、具体的にどのような違いがあるものなのか分かりにくい部分でもあります。

ここから先ではまずこの2つにどのような違いがあるのかについて紹介し、どちらを選ぶべきなのか、ということについても紹介します。

UTPケーブル

UTPケーブルは、シールド加工を行うことなく、ケーブル内部の電線同士を撚り線として加工しているものです。上記のLANケーブルのカテゴリーでは、カテゴリー7以外は基本的にこのUTPケーブルに分類されます。

UTPケーブルは一般的な通信用ケーブルとして使用されているもので、家庭用のものなどはほとんどがこの種類に該当することになります。

イーサネットのためのものとして使用されていることが多いために特別なシールド加工は行われていません。内部で線を撚っていることによって内部雑音を抑制する役割があります。

STPケーブル

STPケーブルは上記のUTPケーブルにシールド加工が行われているものです。 これによってノイズに対して強くなっているため、特に工場のように電波干渉の発生しやすい環境下で使用されることが多い傾向があります。

家庭内においてはSTPケーブルを必要とするほどのノイズ源があることは考えにくいため、あまり使用されることはありません。

逆に、STPケーブルを導入したとしてもその性能を十全に発揮させることができるような環境構築を行うことは難しいのが現状です。

LANケーブルのギガビット・イーサネットの規格の選び方は?

LANケーブルによって違いがある部分として、もう1つギガビット・イーサネット規格というものがあります。

これはケーブルによって対応している規格に違いがあります。専門的な分野となるために具体的な内容は難しくなるため、ギガビット・イーサネット規格によってどのような違いが発生するのかを簡単に紹介します。

1000BASE-T

1000BASE-Tは、高速で安定した通信を行うことができるのがメリットです。スループット1ギガビーピーエスを実現しており、ギガビット・イーサネットの中では2019年現在最も普及しています。

最大セグメント長は100メートルと対応できる範囲が広く、カテゴリー5以上のケーブルとの互換性の高さから普及が進んでいます。

1000BASE-TX

1000BASE-TXはカテゴリ6のケーブルを使用しているもので、1ギガビーピーエスの高速帯域を実現することができます。

開発初期は1000BASE-Tよりも低価格化できることが見込まれていました。しかし現在では1000BASE-Tの低価格が進んだ関係で価格面での優位性が失われてしまったため、選ぶメリットがなくなっています。

1000BASE-Tと互換性がない専用規格となってしまっていることも、普及を遅らせる原因でした。

ギガビット・イーサネットの拡張オプション

ギガビット・イーサネットには、通信帯域や伝送効率を向上するオプションが存在します。 主に使用されているのは「キャリア・エクステンション」「フレームバースト」です。

キャリア・エクステンション

キャリア・エクステンションは、遅れ検出という現象を緩和するためのオプションです。 伝送フレームサイズが512バイト未満のとき、これを穴埋めして512バイトまですることで遅れ検出を防止します。 ただし、小さいフレームを大量送信する場合には、これがかえって効率を低下させてしまいます。

フレームバースト

キャリア・エクステンションによる効率低下に対応するのが、フレームバーストです。 通常はフレームの伝送同士の間には僅かな停止時間があり、これが大量のフレーム送信の際に効率低下を招きます。 フレームバーストはこの停止時間を解消することで高速通信を可能とします。

LANケーブルに関するまとめ

LANケーブルの規格の違いによって、主に変化することになるのは通信速度です。 漏話への強さなどにも違いはありますが、家庭内で使用する分にはそこまで大きな違いとはなりません。

基本的にはカテゴリー5e以降のものを使用していれば、今後も長く使用を続けることができます。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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