パソコンのプロセッサはどれがいい? CPUの役割と選び方を解説します。

パソコンのプロセッサはどれがいい? CPUの役割と選び方を解説します。

新しくパソコンを購入する際、どういったスペックのものにしたら良いのかということに毎回頭を悩ませます。日進月歩で進化していくコンピューターですので、そのスペックは数年前に購入したときとは全く違ったものになっています。画面のキレイさや軽さといった目に見えるところについてはわかりやすいですが、重要なのはパソコン内部のスペックです。どんなに軽くて画面がきれいでも、動きが遅ければ使いものになりません。

この記事ではパソコン内部の主要スペックであるCPU(プロセッサ)について、その性能の見方や選び方をお伝えします。パソコンのスペックとしてはメモリやストレージなども気になるところですが、最重要はプロセッサです。パソコンにとっての核とも脳ともいわれるプロセッサについて理解を深めることで、最適なパソコン選びが出来るようになります。

プロセッサはPC内で最も重要な役割を持ちます。

プロセッサとは一言でいうと「処理装置」のことです。私たちがキーボードやマウスを使ってコンピューターに対して行う行動は、この処理装置を通してデータの転送・制御・演算などがなされ、反応として返ってきます。

プロセッサと同義語でCPUがありますが、これらはほとんど同じものだと認識してもらって構いません。厳密にはプロセッサが処理装置の全体を指すことに対して、CPU(Central Processing Unit)はその根幹部分である中央演算処理装置のことです。

プロセッサはメモリやディスプレイなどの各パーツやソフトウェアにアクセスし、データを探して持ってきたり処理を行ったりします。それらを制御や演算と言います。性能の低いパソコンでは、アプリケーションの読み込みに時間がかかったり、処理が反映されるまでに時間がかかったりしますが、それらはプロセッサの行う処理が遅いためです。逆に高性能のパソコンは「爆速」などの言葉で表現されることもあるように「処理の速さ」が段違いです。高性能のプロセッサを積んでいるパソコンほど処理速度が速くサクサクと動くという認識でいいでしょう。

メモリやストレージ、OSやパソコンの構成するその他の入出力機器は、すべてプロセッサの指示によって動いていると言えるほどPCにとって必要不可欠なものなのです。

プロセッサはIntel社とAMD社の2強

パソコンの中心パーツであるプロセッサですが、それを作っているメーカーは「インテル入ってる?」でおなじみのIntel社とAMD社の2強体制となっています。ほとんどのパソコンにはこのどちらかのプロセッサが入っており、その中でもシリーズや世代によって性能は異なります。

Intel社のコンシューマー向けプロセッサは、メインのcoreシリーズがi3、i5、i7、i9とあり、廉価版として性能の劣るCeleronやPentiumといったものがあります。AMD社の方は、RyzenシリーズやFusionなどこちらも性能や用途別で複数の種類があります。
こうしたシリーズ名は大抵のパソコンのスペック表に掲載されています。プロセッサの性能はプロセッサ内のコア数などで測られます。詳しくは後述しますが、シリーズによってある程度スペックレベルが分けられていますので、シリーズを見ると大体どういったレベルのプロセッサなのかがわかります。

一般的にIntel社のプロセッサは業界内のシェア数が大きく、AMD社のプロセッサはコスパが良いとみられています。また、AMD社のプロセッサはIntel社のものよりグラフィック性能に優れているのが特徴で、3DCGのゲームをメインでおこなうためのゲーミングPCなどではAMD社のプロセッサが多く使われています。それでも日本においてはプロセッサ市場の9割はIntel社が占めており、主流はIntelプロセッサだと言えるでしょう。

プロセッサのスペックは「コア・スレッド・クロック周波数・ビット数」を見る。

それでは具体的に、プロセッサのスペックを測るためのいくつかの指標を見ていきます。

・コアとスレッド
プロセッサはPC内の各パーツにアクセスしてデータを探し、それを持ってきて処理をする役割があると先述しました。コアはその一連の行動を行う部分のことで、プロセッサによってその搭載数が変わってきます。2コア、4コア、6コアをそれぞれデュアルコア、クアッドコア、ヘキサコアと呼びます。プロセッサはパソコンの脳だと言われますが、コア数が多いということは脳を複数持つということになり、処理速度に大き影響を及ぼします。

パソコンを使用していると、EXCELで作業をしながらネットを見たり、他のアプリケーションを起動させたりと同時に複数のタスクを行うことも珍しくありません。例えばコア数が1つであるということは、いくつものデータをあっちこっちに探しに行って、たくさんの処理を急いで行うということをPC内の一人の人間が行っているということです。
いくつものアプリケーションを開いたときに動作が重くなるのはメモリの影響がある場合もありますが、プロセッサ(コア)の性能が間に合っていないということもあります。飲食店で一人で料理を作って接客をして皿洗いをして……となったら時間がかかりますよね。

そこで最近はデュアルコアやクアッドコアのプロセッサが増えてきています。複数の作業を行う時に、複数のコアが同時に処理を行えば必然的に処理速度は上昇します。2つのコアだから単純に1つのコアの2倍の速度になるわけではありませんが、プロセッサのコア数が多いということはそれだけ速度が上がりサクサク動くことになるのです。

また、スレッドはコアと並んで表示されるスペックで、2コア2スレッドや2コア4スレッドといった形で表記されます。スレッド(thread)は糸という意味を持つ言葉です。よくインターネット上の掲示板などでもコメントの流れとして使われますが、パソコンにおけるスレッドも「作業の流れ」を表すものです。
どういうことかと言うと、2コア2スレッドの場合は2つのコアがそれぞれ1つずつの処理を流れに沿って行うということです。これに4つの処理を要求した場合には、2つのコアが最初に2つの処理を行い、それが終わってから残りの2つの処理を行います。それと比べて2コア4スレッドのプロセッサの場合は、2つのコアが4つの作業を同時に行うことが出来ます。コア数以上のスレッドを持つものをマルチスレッドと言いますが、このようにマルチスレッドである方が処理速度が上がりますので、よりサクサク動くというわけです。

同じコア数でもスレッドが異なるとスピードは変わります。そしてスペックが上がるほどコア数やスレッド数も上がっていくのです。

・クロック周波数
クロック周波数は、クロックと呼ばれる信号が1秒間にどれだけ発生するかという数値で、簡単に言えば1秒間にどれだけの計算が出来るのかということを表します。3.00GHzの場合、1秒間に3億回の信号が発生しています。CPUはクロック周波数に合わせて動きますので、周波数が大きければ大きいほどCPUはテキパキと働き、処理が速くなります。

ですが、クロック周波数は必ずしも高ければよいというものではありません。クロック周波数が高いものは往々にして熱が上がりやすくなります。精密機械であるPCにとって熱は敵であり、熱い状態が続いてしまうと機能に障害が出ることもあります。コア数やスレッド数は最新のものになるほど増えていますが、クロック周波数に関しては新しいものが前回のものよりも少し数値を落とすこともあります。それは必要以上に発熱をさせないために数値を抑えてあるのです。クロック周波数をコア数やスレッド数と合わせて考えることで、プロセッサの処理スペックを測ることが出来ます。

・ビット数
プロセッサには、32bitや64bitといった命令セットが設定されています。bit数も処理速度に影響を与え、さらに使えるOSやアプリケーションも変わってきます。また、32bitのプロセッサ搭載のPCではメモリサイズの上限が4Gb、内蔵ストレージが2Tbまでとなっています。ストレージは外部ストレージを接続することで拡張できますが、メモリが4Gb以上に出来ないというのは動画や画像の編集などの使用用途によってはスペックが足りないという事態にもなり得ます。

この他にもプロセッサのスペックは様々な要因から決定しますが、最低限これらについては理解をしておくといいでしょう。

i7なら全部同じ? 同じシリーズでも世代によって性能は異なります。

次に実際の製品においてプロセッサの性能をどのように見ればよいかをお伝えします。コア数やスレッド数がわかれば難しいことではありませんが、同じIntel Core i7のようなプロセッサを積んでいるパソコンでも、プロセッサの世代(発売された時期)によって性能は変わってきます。

i7を例に世代の見方を説明します。「Intel Core i7 7700 HQ」のような表記がされている場合、i7がグレードを表すシリーズ名で、その直後の一桁目が世代になります。この場合はi7のあとに7が来ていますので第7世代ということになります。そのあとの数字が品番、最後のアルファベットが用途別の種類です。用途にはXE(超ハイエンド向け)やT(ラップトップ向け)、U(ノートパソコン向け)などがあります。

世代は新しくなるほどスペックも高くなります。シリーズ名でi5よりi7の方が高スペックだと思っていても、i5の最新世代モデルとi7の2つ3つ前のモデルではi5の方が性能が良いこともあるのです。特に第8世代以降のプロセッサのスペックはその前と比較してもかなり伸びています。パソコンの広告の中には、こうしたシリーズ名だけを大々的に表記して実は世代が前のものだということもあるので注意が必要です。シリーズ名の後のコア数やスレッド数、クロック周波数も確認してスペックを測るようにしましょう。

最適なプロセッサの選び方。高スペックがベストではありません。

プロセッサのスペックの見方を解説してきましたが、実際自分にはどのスペックのパソコンが必要なのだろうと悩む方もいらっしゃると思います。ここではあくまで目安ですが、パソコンの使用用途別のおすすめプロセッサをお伝えします。

まず伝えておきたいのは、高スペックを選んでおけば間違いないということではないということです。高スペックのプロセッサを積んでいても、使途によっては宝の持ち腐れであったり猫に小判ということにもなってしまいます。例えば、2コアよりも6コアの方が高速処理が出来ると先ほどお伝えしましたが、使用アプリケーションによっては2コアでも6コアでも処理速度が変わらないものもあります。EXCELで仕事をしたりWORDで文章を入力するだけだったら、1コアでも十分サクサク動きます。残りの5コアは働いていないようなものです。

パソコンの使用目的として、高画質一眼レフで撮影した画像の編集やyoutubeにアップするための動画編集、3DCGのオンラインゲームなど、パソコンに対して高度で高い負荷をかける作業をする方も増えてきています。また、3DCGの映像作成ソフトの中には、6コア以上の高性能プロセッサが必要といったものもあります。そういった人に合わせてパソコンやCPUはどんどん性能を上げていっていますが、そうした使い方に無縁な人にとってはオーバースペックなだけです。そのことを覚えておいてプロセッサ選びの参考にしてください。

それでは以上のことを踏まえた上で、「officeやインターネット」「デザイン編集」「ゲーム」の3つの使用用途別におすすめのプロセッサをお伝えします。

・インターネットの閲覧やword、excelなどのoffice系をメインで使われる方
Intel社のCeleronや良くてもCore i3で十分です。このような用途でパソコンを買われる方が多いのではないでしょうか。ネット閲覧やoffice系であればパソコンへの不可も大きくありませんので、これらのプロセッサ搭載のパソコンであれば問題ありません。このスペックであれば比較的安価に購入することも出来ます。

・デザインソフトを使って画像や動画、音楽の編集をされる方
Intel Core i5またはi7くらいのスペックがあるものをおすすめします。 もし、動画を編集してyoutubeにアップすることまでやりたい方は、i7や最新のi9なども考慮されてもいいかと思います。動画のアップにはエンコードを伴いますので非常に時間がかかります。その速度を上げるためにはより処理速度の速い高スペックなプロセッサを搭載した方がよく、結果的に作業速度や作業効率を上げてくれます。

・パソコンでゲームをされる方
まずはやりたいゲームの必要スペックを確認してみてください。ゲームによっては必要スペック以下のパソコンであれば、カタつくとか落ちる以前にプレイすることも出来ません。3DCGのゲームほど高性能が要求されますので、それに合わせてなるべく高いスペックを選ぶべきです。そう考えるとIntel Core i5やi7、AMD社のRyzen5や7などが候補になります。

テクノロジーは日々進化しており、それに合わせてパソコンに求められることも増えています。そのためパソコンの核となるプロセッサもどんどん高性能になっていています。プロセッサ選びで大事なのはスペックとコストのバランスです。自分の使い方に合わせたプロセッサ選びが出来れば、「スペックが足りなくて困る」ということも「新しいパソコンが欲しいけど高くて買えない」ということも減ってくるのではないでしょうか。

ぜひこの記事で説明したコア数やスレッド数などを参考にして、自分に合うスペックのパソコンを探してみてください。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

トップへ戻る