意外にパソコンと関係がある、電波の周波数のあれこれ

意外にパソコンと関係がある、電波の周波数のあれこれ

私達の日常生活には、多くの電波が使われています。
テレビやラジオ、パソコン、電子レンジなど電波が使用されている機器は多岐に渡り、それぞれ性質も違います。

ただ、電波は目に見えないもので、あまり意識しない方が多いでしょう。

しかし、実はこの電波が正しくやり取りできない状態になってしまうと、上手く機能しなくなるものは多くあります。

その中の1つがパソコンです。
パソコンの周囲には電波が使用されていることが多く、電波に問題が発生すると動作上の問題を引き起こす可能性が高くなります。

ここから先では、そんなパソコン周辺の電波に関する情報を紹介します。
普段はあまり意識しないという方も、これを期にどのような電波が使用されているのかを把握してみましょう。

最初に紹介するのは「パソコン周辺で使用されている電波の周波数は?
そもそも周波数って何?」という内容です。
電波は周波数によって種類が別れており、それによって性質にも違いがあります。

ここでは、そもそも周波数が何かということと、パソコン周辺で使用される主な周波数についてを紹介します。

次に紹介するのは「周波数が変わると何が変わるのか?」という内容についてです。
周波数がどのような意味を持つものなのかを踏まえて、それが違っていることで発生する違いを紹介します。

その次に紹介するのは「2.4ギガヘルツ」「5ギガヘルツ」「60ギガヘルツ」の周波数の特徴についてです。
これらの周波数の違いでどのようなメリット・デメリットが発生するかを紹介します。

最後に紹介するのは「選べるならどの周波数を選ぶべきか」についてです。
機器によっては使用できる周波数が選択できるものもあるため、その場合の選択基準に付いて紹介します。

パソコン周辺で使われる周波数は? そもそも周波数って何?

周波数とは、電波や光などが1秒間にどれだけ波を繰り返すのかを示すものです。
周波数にはヘルツという単位が使用されます。
1ヘルツは1秒間に1回波を繰り返すことを意味しています。

パソコンの周辺で使用される周波数は、ギガヘルツという単位で示されます。
1ギガヘルツは1秒間に10億回波が繰り返される、という意味です。

パソコンの周辺で使用される電波の周波数は「2.4ギガヘルツ」「5ギガヘルツ」がほとんどです。
昨今では新しく「60ギガヘルツ」が使用されている例も見られますが、上記の2つに比べるとまだまだ数は少ないのが現状です。

パソコンの周辺で電波が使用されている例には以下のようなものがあります。
・パソコンを他のパソコンやインターネットと繋ぐための無線
・パソコンと周辺機器を繋ぐ無線

これらは有線で接続されているものも多いですが、無線化することでケーブルが不要になるメリットのために使用されることが多くあります。

それでは、周波数が違っているとどのような違いがあるのでしょうか。
この先では、周波数の違いによって現れる違いについて紹介します。

周波数が変わると何が変わるの?

周波数の違いによって現れる大きな違い以下の2つです。
1.直進性
2.回折

1.直進性

直進性とは、障害物がない環境で、その電波がどれだけの高速で届けられるかを意味しています。
基本的に周波数が高い電波ほど直進性は高く、高速で情報を伝達できます。

ただ、これはあくまでも「障害物がない」ことが条件です。
より正確には、周波数によって違っている、「電波の波長よりも長い障害物」がないことを意味します。

電波の波長より短い障害物については、次に紹介する「回折」という性質によって回避できます。
周波数が高い電波ほど波長は短くなる性質を持っているため、直進性が上がるほど、障害物の影響を受けやすくなります。

2.回折

回折とは、電波が障害物を回り込んで届く性質のことです。
前述の通り、電波は自身の波長よりも小さな障害物は乗り越えることができます。 その分、直進性は低い電波となるため、通信速度は低下します。

無線が使用される環境にどの程度の障害物があるのかを元にして、適切な周波数を考える必要があります。

周波数「2.4ギガヘルツ」の特徴

2.4ギガヘルツの電波は、パソコンの周りで非常によく使われています。
特に使用されていることが多いのが周辺機器の無線接続です。

無線キーボードや無線マウスの接続はこの2.4ギガヘルツで行われていることが多いです。
また、インターネットやパソコン同士の接続に使われるWi-Fiにも2.4ギガヘルツの電波が使用されていることが多いです。

こちらについては、下記の5ギガヘルツのものが使用されていることも多くなっています。

2.4ギガヘルツ周波数のメリットは2つあります。
1.波長が長いため回折に優れ、障害物に強い
2.古い機器でも対応している

1.波長が長いため回折に優れ、障害物に強い

2.4ギガヘルツの周波数の特徴は、パソコン周辺で使用される電波の中では最も周波数が低いことです。
そのため、直進性は高くありませんが、その分回折に優れていて、障害物の回避を得意とます。

部屋の多い住宅でネットワークを構築したい場合などに効果的です。

2.古い機器でも対応している

2.4ギガヘルツの周波数は、古くから使われています。 そのため、古いタイプの無線機器の場合はこの周波数を使用していることが多く、対応しているケースが多い傾向があります。 昔使っていた無線機器などを使いたい、というときにも対応している可能性が高いのはメリットの1つです。


逆に、デメリットとしては以下の3つが挙げられます。 1.チャンネル幅が狭いため通信干渉を起こしやすい
2.直進性が低いため通信速度が低い
3.電子レンジなどの電化製品と同じ周波数帯である

1.チャンネル幅が狭いため通信干渉を起こしやすい

2.4ギガヘルツの電波には、14のチャンネルが用意されています。
同じ周波数の電波でも違うチャンネルならば通信を行うことができるのですが、この周波数の場合は1チャンネル当たりの幅が狭い性質が問題です。

1チャンネル当たりの幅は22メガベルツで、十分な通信を行うためには1つのチャンネルを中心に、左右のチャンネルも使用しなければなりません。
そのため、14チャンネルあるからといって、14個同じ周波数の機器を使うと同チャンネルを使用してしまうこととなり、通信干渉が発生します。

通信干渉が発生すると、電波が寸断されたり、通信速度が低下したりします。

2.直進性が低いため通信速度が低い

直進性の低さからくる通信速度の低さが、インターネットの通信速度のボトルネックとなります。
2.4ギガヘルツを専用で使用している無線LAN規格はIEEE802.11gとIEEE802.11bの2つです。

それぞれの最大通信速度は54メガビーピーエスと11メガビーピーエスです。
これは光接続のインターネット速度より大幅に遅く、せっかくの通信速度が無駄になってしまいます。

3.電子レンジと同じ周波数帯である

最後に、この2.4ギガヘルツ帯の電波は、電子レンジと同じ周波数という問題があります。 電子レンジを使用しているときには強い電波が放たれるため、電波干渉が発生してしまいます。

通信が切断されてしまう可能性が高いため、安定性が低いのがデメリットです。

周波数「5ギガヘルツ」の特徴

5ギガヘルツの周波数のメリットは以下の2つです。
1.チャンネル幅が広く通信干渉が起こりにくい
2.直進性が高く通信速度が速い

1.チャンネル幅が広く通信干渉が起こりにくい

2.4ギガヘルツの電波に比べ、5ギガヘルツではチャンネル数は4チャンネルまで減少しています。

その代わり、1チャンネルの幅が80メガヘルツにまで拡大しているため、1チャンネルだけで十分に安定的な通信が行なえます。

5ギガヘルツは無線LAN専用の無線規格のため、他の電化製品による干渉も発生しません。

2.直進性が高く通信速度が速い

5ギガヘルツの電波は2.4ギガヘルツのものに比べて直進性が高く高速です。
5ギガヘルツ帯を使用している無線LAN規格であるIEEE802.11acでは、最大通信速度が6.9ギガビーピーエスまで増加しています。
これは光接続のインターネット速度でも十分な速度です。

逆にデメリットとなるのは1つです。
1.2.4ギガヘルツに比べると障害物に弱い

1.2.4ギガヘルツに比べると障害物に弱い

5ギガヘルツ電波は2.4ギガヘルツ電波に比べると波長が短いため、回折性は低くなっています。
そのため、大きな障害物を超えることができなくなってしまっているのはデメリットです。

周波数「60ギガヘルツ」の特徴

60ギガヘルツの周波数は新しく登場したもので、まだほとんど一般家庭で使用されていません。
2.4ギガヘルツ、5ギガヘルツの電波は共にマイクロ波に分類されますが、60ギガヘルツの電波はミリ波に分類されます。

5ギガヘルツのものよりもさらに直進性が高くなり、回折性が低くなっています。

そのため、狭い範囲での高速通信に強い反面で、遠くなると障害物による影響を顕著に受けます。

また、現状では対応している機器がほとんどないのもデメリットの1つです。

選べるならどの周波数を選ぶべき?

無線を使用する機器によっては、使用する周波数を選ぶことができます。
特に無線LAN接続を行うためのルーターでは、使用されている無線LAN規格を見ることでどの周波数帯のものかがわかります。

それでは、2.4ギガヘルツ、5ギガヘルツ、60ギガヘルツではどの周波数のものを選ぶべきでしょうか?

まず、60ギガヘルツについては現状まだ機器が対応していないため、家庭用としては選択肢に入りません。
インターネット接続を目的としているのであれば、安定性が高く通信速度も早い5ギガヘルツのものを選ぶ方がメリットが大きいでしょう。

ただし、接続箇所同士に障害物が多い場合は、2.4ギガヘルツを選ぶメリットもあります。

どちらが適しているか迷う場合には、IEEE802.11nという、2.4ギガヘルツと5ギガヘルツを切り替えて使用できる無線規格のものがあります。

周波数に関するまとめ

パソコンの周辺には目に見えないものの多くの電波が使用されています。
使用されている電波の周波数によって特性の違いがあるため、どのようなものを使用しているのか把握しておきましょう。

なにか不調が出た時に、どこに問題があるのかを把握しやすくなります。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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