Wi-Fiが遅いのは通信規格のせい?Wi-Fiの速度と規格について解説
スマートフォンの規定通信量をオーバーして、コンビニや公共施設のWi-Fiスポットに駆け込んだことがある経験はありませんか?私たちの生活の一部になりつつあるWi-Fiですが、実は5つの通信規格があり、通信速度や届く範囲に違いがあります。
今回は私たちの生活に欠かせないWi-Fiの通信速度や規格、特徴をご紹介します。
Wi-Fiとは
Wi-Fiとはタブレットやパソコン、スマホなどのネットワーク対応端末を無線でLAN(Local Area Network)に接続できる技術のことで無線LANとも呼ばれます。Wi-Fiがあれば、邪魔なケーブルを減らすことができるほか、電波が届く場所であれば、どこでもインターネットを接続することができます。
有線LAN・Wi-Fi(無線LAN)のメリット・デメリット
インターネットを接続するにはプロバイダー(インターネット接続を提供している会社)と契約を結び、プロバイダーから提供されたモデムなどの機器から電波をもらい、インターネットができる環境を準備する必要があります。
モデムとパソコンなどの機器の接続方法は有線LANとWi-Fi(無線LAN)の2種類あります。
● 有線LAN…モデムとパソコンなどの機器をLANケーブルで接続
● Wi-Fi(無線LAN)…モデムとパソコンなどの機器を電波で接続
ここでは、有線LANとWi-Fi(無線LAN)のメリット・デメリットをまとめています。
有線LANのメリット
● 電波が安定しているため途中で接続が切れることがない
● 速度が速いためストレスなくインターネットを利用できる
● セキュリティが強固である
有線LANのデメリット
● 複数台同時に使う際にLANケーブルが絡まる
● LANポートを搭載した機器しか使用できない
● 設置するときに工事が必要な場合がある
有線のメリットはなんといっても通信の安定性でしょう。Wi-Fiも混雑した周波数帯域である2.4GHz帯から5GHz帯を使用するようになりましたが、それでも障害物に弱いという欠点があり、通信が繋がりにくいことも多々あります。
ケーブルで繋いでいる有線LANは電波干渉されにくいため、Wi-Fiに比べ通信が安定し、通信速度も速いものとなっています。有線LANとWi-Fiの通信速度を比べると、Wi-Fiが最大値1300Mbps(規格値)に対し、有線LANは最大値10Gbps(規格値)にもなります。
参照:BUFFALO https://www.buffalo.jp/topics/select/detail/wifi-about.html
デメリットは複数台の端末を使用する際にケーブルが煩雑になることです。また、Wi-Fiが普及した今、LANポートを搭載した機器の販売は今後、少なくなることが予想されます。
【Wi-Fiのメリット】
● ケーブルが不要なので配線がスッキリする
● 中継器を利用して電波の届く範囲を広げられる
● ケーブルを使用しないので、工事が不要
【Wi-Fiのデメリット】
● 電波が不安定になると接続が途中で切れる
● 有線LANに比べて通信速度が遅い
Wi-Fiのメリットは何といっても煩わしいケーブルがなくなることでしょう。また、電波の届く範囲であれば、端末の持ち運びも可能です。また、有線LANの場合はケーブルを使用するために工事が必要な場合がありますが、Wi-Fiルーターを設置するだけでインターネット接続をすることができます。
デメリットは有線LANに比べて通信速度が遅いことと通信が安定しないことですが、Wi-Fiの技術は年々進歩しており、Wi-Fiが普及した当初よりもはるかに速度と安定性は良くなっています。
スマートフォンがあればWi-Fiはいらない?
スマートフォンはWi-Fiがなくてもインターネット接続できますよね。スマートフォンはWi-Fi接続がなくても、各携帯会社のモバイル通信によってインターネットに接続することができます。LTEや3G・4Gと言うモバイル通信規格を聞いたことがある方もいるでしょう。
自宅にパソコンはないし、スマートフォンしか利用しないからWi-Fiは必要ないわと思う方もいますよね。ですが、多くの携帯会社では1ヶ月に利用できる通信量に制限を設けています。通信量を超えてしまうと通信速度が遅くなったり、通信量の別途購入をしなければならなくなったりします。気づいたら携帯料金が1万円超えてしまうことも。
自宅でWi-Fiを設置したら、Wi-Fiの利用料だけで通信量制限を気にすることなくスマートフォンやパソコンでインターネットを楽しむことができます。自宅でインターネット接続することが多い人は、通信費の節約にもなりますよ。
Wi-Fiの2つの周波数と速度
Wi-Fiは、電波を使ってインターネット接続を行います。Wi-Fiで使用される電波には2.4GHz(ギガヘルツ)帯と5GHz帯の2つの周波数帯域があります。周波数帯域とは、電波の周波数の範囲のことを言い、帯域によってそれぞれ特徴があります。
2.4GHz帯の特徴
2.4GHz帯はほとんどのWi-Fi機器で利用できる帯域です。また、5GHz帯よりも低速にはなりますが、電波が障害物を回り込むため、遠くまで届くという特徴があります。2.4GHz帯はWi-Fi機器以外にも電子レンジ、アマチュア無線など多くの機器でも利用される帯域なので、電波干渉が起きやすく通信が切断しやすいというデメリットがあります。
5GHz帯の特徴
5GHz帯はもともと気象レーダーや航空無線運航システムなどで用いられていた帯域で、使用するには免許が必要でした。2000年以降、屋内のWi-Fi用に一部が割り当てられ、免許がなくても使用できるようになりました。
古くから一般利用できる2.4GHz帯と違い、新しく割り当てられた5GHz帯は、対応機器が少ないため電波干渉が少なく、通信が安定しているという特徴があります。また、通信速度も速いのでインターネット閲覧や動画鑑賞も快適に楽しめます。
近年、発売されいている多くのWi-Fiルーターや対応機器は後ほど紹介しますが、5GHz帯の規格に対応しています。ただ、障害物に弱く壁や家具などで電波が遮られると繋がりにくくなるというデメリットがあります。
Wi-Fiの通信規格
Wi-Fiには、2種類の周波数帯域以外に通信規格というものが存在します。Wi-Fiは、「IEEE802.11」という通信規格になっており、11の後ろに「ac/a/n/g/b」で種類が区別されます。
先程紹介した周波数帯によって、通信規格は異なり、5GHz帯には「11ac」と「11a」。2.4GHz帯 には「11g」「11b」の規格が割り当てられています。また、両方の周波数帯で使用できる「11n」という規格もあります。
出典:Wi-Fiで使われる通信規格の種類
https://www.buffalo.jp/topics/select/detail/wifi-standard.html#a01
図のようにWi-Fiの通信規格は5つありますが、今回はその中でも最新の超高速通信規格である5GHz帯の「11ac」、5GHz帯と2.4GHz帯 の両方の周波数帯で使用できる「11n」の規格を詳しく見てみましょう。
5GHz帯の通信規格11ac
11acは、IEE(米国電気電子学会)によって策定された新しい通信規格になります。その特徴は何といっても通信速度の速さ。それまで催促だった11nの通信速度600Mbpsと比べ11acの速さはなんと6.9GMbps。1Gbpsは1,000Mbpsにあたるので、約11.5倍も高速化したことになります。
出典:Wi-Fiで使われる通信規格の種類
https://www.buffalo.jp/topics/select/detail/wifi-standard.html#a01
ちなみに、インターネットで必要な通信速度の目安は次の通りです。
● WEBサイト閲覧・メールの送受信 1~30Mbps
● 動画の閲覧・音楽のダウンロード 100~500Mbps
● 高画質動画の閲覧・オンラインゲーム 500Mbps~
引用:BBIQ公式サイト
https://www.bbiq.jp/hikari/internet/giga/speed/
このことから500Mbps以上の通信速度があれば、インターネットを問題なく快適に使うことができます。そう考えると6.9GMbpsが超高速であることが分かりますね。ただ、この6.9GMbpsの速度は障害が何もなく、最適な通信環境での速度になります。実際に販売されている一般家庭用Wi-Fiルーターの11acの速度はこの数値よりも低く、800~1700Mbpsになります。
5GHz帯と2.4GHz帯の両方の周波数帯で使用できる規格11n
11nは従来の規格の中で、最も早い通信速度を持つ規格でした。11acの規格が策定され、使われるようになったことで、通信速度は2番目になりましたが、インターネット閲覧など一般的な用途ではこの通信速度で十分事足ります。
そしてもう1つ、11nの大きな特徴は5GHz帯と2.4GHz帯 の両方の周波数帯を使用することができること。1つの規格でありながら2つの周波数帯を利用できるのは11n以外ありません。
5GHz帯と2.4GHz帯のWi-Fi規格は通信の互換性がない
2種類の周波数帯で5つの通信規格があるWi-Fiですが、
● 5GHz帯のWi-Fi規格「11ac、11n、11a」
● 2.4GHz帯のWi-Fi規格「11n、11g、11b」
この2つは互換性がありません。例えば、11n、11g、11bに対応しているWi-Fiルータで、11ac、11n、11a対応の端末でインターネット接続することはできません。
また、例えば、Wi-Fiルーターが11acに対応していても、ネットワーク対応機器が11a対応の場合、11aでの通信速度になります。なお、規格毎の速さは以下のようになります。
● 5GHz帯…11ac>11n>11a
● 2.4GHz帯…11n>11g>11b
5GHz帯は11acの通信規格が最速で、2.4GHz帯は11nの通信規格が最速になります。
Wi-Fiルーターの選び方のポイント
Wi-Fiの規格と速度について分かったところで、Wi-Fiルーターを選ぶポイントについてご紹介します。Wi-Fiルーターを購入しようと思っているけれども何を基準に選べばいいのか分からない方は是非、参考にしてください。
最新規格「11ac」対応のものを選ぶ
5GHz帯のネットワーク対応端末は少ないとは言え、iphone6以上のスマートフォンや新型のandroid、タブレット端末やパソコンは11ac通信規格に対応しています。今後、11acに対応する機器が増えることから、Wi-Fiルーターを購入する予定がある方は「11ac」対応のものを選ぶようにしましょう。
なお、現在持っている機器が11acに対応していなくても、5GHz帯であれば自動的に古い規格に合わせて通信を行うので問題ありません。
2.4GHzと5GHzを両方に対応しているルーターを選ぶ
5GHz帯のネットワーク端末が今後増えると言っても、2.4GHz帯の規格に対応している旧型のパソコンやスマートフォン、ニンテンドー3DS、PSPなどの旧型のゲーム端末を使っている方も多いかと思います。
せっかくWi-Fiを購入したのにこれらの端末が使えないとなると不便ですよね。でも、ご安心ください。最近では、2.4GHzと5GHzの電波を両方に対応している機器が増えています。
例えば、BUFFALOのWi-Fi機器を購入し、iphoneをWi-Fi接続するとSSIDは以下のようになります。
このうち、「~A~」は5GHzの周波数帯域で「~G~」が2.4GHzの周波数帯域を表しています。どちらの帯域を選ぶかについては、使用するネットワーク端末で簡単に選択することができます。
使っているネットワーク端末がどちらの周波数域帯に対応しているか分からない場合は、とりあえず5GHzの周波数帯域を選びましょう。繋がりにくければ2.4GHzの周波数帯域を選べばいいだけです。なお、2.4GHzの周波数帯域の端末に5GHzの電波を飛ばしても繋がらないだけで、端末に影響を及ぼすことはありませんので、ご安心ください。
最高通信速度をチェック
家電量販店やネット通販で、Wi-Fiルーター
のパッケージや仕様を確認すると、「◯◯ + ◯◯Mbps」というような数字の羅列を目にします。これは、Wi-Fiルーターの最高通信速度を表します。
出典:BUFFALO 商品ラインナップ https://www.buffalo.jp/product/child_category/ap.html
例えば上記のBUFFALOのWi-Fi機器の場合、11acの最高速度が866Mbps、その他の規格である11n、11a、11g、11bの速度が300Mbpsとなっています。
使用範囲のチェック
メーカーごとに基準が異なるため、比較するのは難しいのですが、wiifの商品説明には、Wi-Fi電波の届く範囲や同時接続可能人数などの情報が記載されています。目安の数字ですが、選ぶときの参考になるのでチェックしましょう。
まとめ
Wi-Fiとは、タブレットやパソコン、スマホなどを無線でインターネット接続できる方式のことで、無線LANとも呼ばれます。Wi-Fi接続にすると以下のメリットがあります。
● ケーブルが不要なので配線がスッキリする
● 中継器を利用して電波の届く範囲を広げられる
● ケーブルを使用しないので、工事が不要
簡単に設置できて、煩わしいケーブルも必要ないため、Wi-Fiは今後ますます普及することが予想されます。
そんなWi-Fiには2つの周波数帯域があり、5つの通信規格に分けられます。
● 5GHz帯のWi-Fi規格…11ac、11a
● 2.4GHz帯のWi-Fi規格…11g、11b
● 5GHz帯・2.4GHz帯ともに使用できる規格…11n
最新の規格は、通信速度が速い11acとなっており最新のネットワーク端末はこの規格に対応しています。また、5GHz帯のWi-Fi規格と2.4GHz帯のWi-Fi規格に互換性はありません。今後は5GHz帯のWi-Fi規格の製品が一般化することが予想されますが、2.4GHz帯の規格の製品が使われていることも多いのが現状です。
Wi-Fiルーターを購入する際は、5GHz帯・2.4GHz帯ともに使用できるルーターを選びましょう。