パソコンの大敵!? 静電気に要注意
ドアノブなどの金属に触れた瞬間、「バチッ!」と静電気が流れて痛みを感じる。
誰もが経験したことのあるイヤな現象ですよね。
そんな静電気が原因で、パソコンが故障してしまうことがあります。
とくに空気が乾燥する冬場は、パソコンの電源スイッチに触れた瞬間に静電気が発生し、その後、パソコンが起動しなくなってしまうことも。
ここでは、そんな静電気からパソコンを守るための予防などをご紹介していきます。
静電気とは? どんな時に発生するの?
はじめに、そもそも静電気とはどのようなものなのか、おさえておきましょう。
身の回りにあるすべてのものは電気を持っています。
人や動物はもとより、金属、プラスチック、紙、繊維・・・など、すべての物体がプラスとマイナスの2種類の電気を持っています。
通常、物体が持つプラスの数とマイナスの数は同数で、バランスが取れた状態にあります。
しかし、物体同士がぶっかったり、こすれあったりすると、マイナスの電気が移動することがあります。そのため、片方の物質はマイナスの電気が増え、もう片方の物質はマイナスの電気が減ることで結果的にプラスの電気が多くなる、アンバランスな状態になります。
このアンバランスな状態のことを「静電気」といい、静電気を帯びた状態のことを「帯電」といいます。
つまり、物体同士が衝突し、マイナスの電気の移動が行われると、プラスに帯電した「プラスの静電気」を持つ物体と、マイナスに帯電した「マイナスの静電気」を持つ物体ができることになります。
静電気を帯びた物体はアンバランスな状態にあることから、なんとか元のバランスの良い状態に戻ろうとします。
そんな時、プラスに帯電した物体とマイナスに帯電した物体が近づくと、お互いが引かれ合って、マイナスの電気が動きます。
つまり、電流が流れるわけです。これが例の「バチッ」という静電気が発生した状態です。正確にいえば、静電気によって放電が起きた状態です。
ちなみに人間はプラスに帯電しやすいことから、マイナスに帯電しているものに触れたり、近づいたりすると、放電が起きてマイナスの電気が身体のなかに流れ込み、一時的に感電して「痛っ!」となるわけです。
静電気でパソコンが壊れるって本当?
では、静電気でパソコンなどが故障してしまうことはあるのでしょうか?
実は静電気が起きるとき、そこには3,000V〜10,000Vの電圧がかかるといわれています。
通常、家庭の電圧は100Vですから、その30倍〜100倍もの電圧が発生しているというわけです。
パソコンはデリケートな部品でできていることから、もし突然それだけ大きな電圧がかかったら、落雷したときと同じように、パソコン内の精密部品がダメージを負う可能性は否定できません。
ですから、身体が帯電している状態で、パソコンやプリンター等の周辺機器の電源スイッチを押したり、マウス等の周辺機器をつないだりするのは要注意。
パソコンや周辺機器に電流が流れ込み、一時的に起動しなくなったり、故障してしまうことがあるかもしれません。
ちなみに、パソコンを故障させるほど大きな電圧であるにも関わらず、私たちの身体は一瞬痛むだけで済んでいるのはなぜなのでしょう。
それは電圧は大きくても、流れる電流がわずかだからです。
静電気の放電は一瞬の出来事であり、そのときに流れる電流は1ミリアンペア程度のため、指先が痛む程度で生命に危険が及ぶことはありません。
しかし、一瞬とはいえ、静電気が起きたときの「バチッ!」という衝撃はかなりのものですので、その現象が小型精密部品の集まりであるパソコンに起きることを想像すると、故障のリスクにもうなづけるのではないでしょうか。
静電気によるパソコントラブルを防止するには
では、パソコンを使用する際、静電気を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
静電気を防ぐ方法をいくつかご紹介しましょう。
●身体に帯電している静電気を取り除く
自分の身体に静電気が溜まっているかどうかはわからないもの。
ですから、パソコンに触れる前に、いったん壁や床などに触って、身体に溜まっているかもしれない静電気を放電することを習慣づけましょう。
触る壁や床の素材は、コンクリート、土、木などのゆっくり電気を通すものであることが重要です。
なお、金属に触って放電させることもできますが、そのままドアノブなどに触れてしまうと、例の「バチッ!」になりかねないので注意が必要です。
金属に触れる場合は、金属製の鍵やペンなどを使ってドアノブなどに触れるか、あるいは、手をじゃんけんのグーの形にしてドアノブに触れると、「バチッ!」という衝撃を受けることなく、放電させることができます。
●室内の湿度を高める・身体に潤いを与える
静電気は冬場に起きやすいということは、皆さまもご存知のことだと思います。
その理由は、空気も人も乾燥していて、水分が少ないから。
夏場のように室内の湿度が高く、人の身体も汗で湿っていると、静電気は身体の中に留まることなく、電気を通しやすい水分を通して空気中に放電されるというわけです。
つまり、冬場でもそれと同じような状態にすれば、静電気が防げるということです。
たとえば、パソコンを使用する前に手を洗ったり、皮膚や髪に保湿クリームで潤いを与えるだけでも静電気のリスクを軽減することができます。
また、加湿器を使って部屋全体の湿度を高めることも効果的です。
●衣類等に配慮する
衣類は素材によってプラスに帯電しやすいものと、マイナスに帯電しやすいものがあります。
たとえば、アクリルやポリエステルはマイナスに帯電しやすく、ナイロンやウールはプラスに帯電しやすい性質を持っています。
たとえば、ポリエステルのシャツの上に、ウールのセーターを重ね着した場合、セーターをきたり脱いだりすると、ウールとポリエステルがこすれて、「バチバチ」という音ともに静電気が発生します。
一方、ナイロンのシャツの上に、ウールのセーターを重ね着した場合は、両者ともプラスに帯電しやすい素材なので、ほとんど静電気は発生しません。
また、綿、絹、麻といった素材は比較的帯電しにくく、静電気の面では安心な素材といえるでしょう。
もしパソコンを操作しながら、ひざ掛けや毛布を使用するのであれば、これらの素材のものを選ぶことをおすすめします。
「いちいちそんなことは気にしていられない」という方は、市販の衣類用の静電気防止スプレーを使ってみてはいかがでしょうか。
●パソコンにホコリを溜めない
静電気はホコリに溜まりやすいという性質を持っています。
そのため、パソコンやパソコンまわりのデスクなどはこまめに掃除をして、ホコリを溜めないようにすることも大切です。
なお、デリケートなパソコン内部を掃除するときは、静電気対策用の手袋を使うなどして、慎重に行うようにしてください。
また、長期間パソコンを使わないときは、コンセントを抜いておきましょう。
静電気防止グッズを使おう
手軽に使える静電気防止・対策グッズをいくつかご紹介しましょう。
【静電気軽減シート パチカット/FP-218】
パソコン周辺にシールタイプの同製品を貼っておき、パソコンを使用する前に触れることで、身体に帯電した静電気を軽減することができます。
●サイズ:大 80×75mm/小 56×31mm(大小2枚組)
●本体重量:6g
●材質:表面 ポリエステル・ナイロン/裏面 保護フィルム=ポリプロピレン、心材=ポリエステル、粘着材=アクリル酸エステル共重合体、吸着=アクリル酸エステル共重合体樹脂、顔料(チタン)
●原産国:日本
画像・情報引用元:Amazon(https://www.amazon.co.jp/dp/B009O9CNRG)
【ぺんてる 静電気除去キーホルダー ビースルーニー EAS8-3 】
パソコン使用前に同製品の金属部分を写真のように握りながら、先端をドアノブ等にタッチさせれることで、身体に帯電している静電気を除去することができます。放電体にステンレスフェルトを使用しており、帯電量が多くてもスムーズな放電が可能です。
キーホルダータイプなので、携帯して使用することも可能です。
●サイズ:軸径 20 ×奥行 8.5 × 長さ 33mm (キーホルダー金具部分は含まず)
●本体重量:9g
●材質:本体=アクリル/金具=スチール、真鍮
画像・情報引用元:Amazon(https://www.amazon.co.jp/dp/B0069IFP7A)
【サンワサプライ 除電ブラシ(隙間ブラシ付き) CD-BR14GYN】
前段でこまめにパソコンを掃除し、ホコリを溜めないようにすることが、静電気防止につながるということをご紹介しました。
当ブラシは導電性繊維が使われており、パソコンの清掃をする際、ホコリと同時に静電気も除去してくれます。また、ブラシの片側は、キーボードなどのすき間に溜まったホコリをかき出しやすい、すき間ブラシになっています。
●サイズ:全長=265mm/ブラシ部=70mm/すき間ブラシ=20mm
●本体重量:45g
●材質:柄=ABS樹脂/ブラシ=PP(ポリプロピレン)、ナイロン、導電性繊維
もしも静電気でパソコンが壊れてしまったら・・・
パソコンの電源を入れようとしたり、周辺機器をパソコン本体に接続しようとしたときなどに、「バチッ!」と静電気が発生し、その後からパソコンが起動しなくなってしまったら、それは静電気によるパソコンの故障かもしれません。)
そんなときは、まず以下の対処法を試してみてください。)
1)パソコンに接続されている周辺機器や電源コードなどのケーブル類をすべて取り外して、パソコンを本体だけの状態にします。ノートパソコンの場合は、バッテリーも取り外してください。)
2)そのまましばらく放置し、内部にある余計な静電気を放電させます。10分程度が目安です。なお、機種にもよりますが、パソコンに何も接続されていない状態で、電源ボタンを何回か押すと、静電気の放電を促すことができます。)
3)再びケーブルをつないで元の状態に戻し、電源を入れます。これで復活する場合があります。)
上記の対処法を行っても、パソコンが起ち上がらない場合は、パソコンメーカーもしくは弊社のようなプロの修理業者にご相談ください。)