デスクトップパソコンの内部掃除はどうやるの? おすすめアイテムも紹介

デスクトップパソコンの内部掃除はどうやるの? おすすめアイテムも紹介

パソコンの中の掃除ってしたことがありますか? 筆者も最初は掃除の重要性を知らなくて何年もほったらかしたパソコンを開けてみたとき驚きました……想像以上のホコリの量に。それを見たとき「良くこの状態で動いていたなぁ」と思ったものです。

その後、パソコンの内部に熱がこもることでパーツの寿命が縮んだり、ホコリによってショートして故障する場合もあるという話を聞いてからは、年に1回程度は掃除をするようになりました。筆者がかたくなにデスクトップパソコンを買い続けるのも、ノートパソコンだと熱がこもりやすく分解掃除ができないため内部パーツの寿命が短いと信じているからです。(*1)

とはいえデスクトップであろうと排熱が落ちればパーツの寿命が縮まるのは変わりません。よって、パソコンを長く使いたいのであれば、定期的に内部も掃除して風通しを良くするのがおすすめです。

本記事ではデスクトップパソコン内部の掃除にはどんな道具を使ったらいいのか? 掃除する場合の注意点などもあわせて解説してみたいと思います。

*1…ノートパソコンのほうが排熱効率が悪いのは事実だが、故障しやすいのは他の原因もあります。

冒頭では危機感を持ってもらうために大げさに言いましたが、パソコン内部にたまったホコリなどが直接故障の原因になる確率は実はそれほど高くはありません。ただしデスクトップパソコンならという条件がつきます。

スリムタイプのような小さなデスクトップパソコンでホコリがたまったとしても、ノートパソコンに比べれば充分な空間があります。よって、ホコリが冷却の妨げになることは少なく、ノートパソコンのように極端な高温になることがないからです。
ノートや一体型デスクトップパソコンの中はギチギチにパーツが詰め込まれた設計になっています。さらにノートパソコンの場合、バッテリーという熱源が内部にあり、内部のホコリや冷却ファンの劣化にともなって冷却効率が下がりやすいことで、故障の確率がデスクトップよりも高めになるのです。

ですがたまるホコリの量は住んでいる家の環境によっても異なりますし、喫煙者の場合、タバコのヤニが原因でホコリがたまりやすくなる場合もあります。デスクトップと言えど冷却効率が下がればパーツの寿命は縮みますし、ホコリやゴミによるショートによる故障の可能性がまったくないわけではないのです。

タバコのヤニが内部のパーツに付着し、そのベタベタで余計にホコリがたまりやすくなるということもあります。この場合、通常の方法ではホコリが払えない場合もあります。

画像はイメージです。本物は右画像以上にヤニでベトつきホコリもつきます。

部屋がホコリっぽい、パソコンを床に直接置いている、喫煙者であるなどの条件に当てはまるのでしたら、年に1回程度はパソコンを分解し内部を清掃したほうが寿命を長く保つことができるでしょう。

パソコン掃除に必要な道具

パソコンの掃除には昔から空気を勢いよく吹き出すスプレー缶「エアダスター」というものを使うのが一般的です。ノズルを機器の端子や奥に向けるためにスプレー缶を逆さにすることも多いため、缶を逆さにしても風が出る逆さ使用OKのエアダスターを購入するのが良いでしょう。

エレコム エアダスター ECO 逆さ使用OK ノンフロンタイプ 3本セット AD-ECOMT

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エアダスターの値段は1本300~600円、3本セットで1,200~1,500円程度で売っています。汚れ具合が酷かったりすると1本では掃除が終わらないこともあります。マメに掃除をする人だと3本程度すぐになくなってしまいます。あとホコリの量が多いとあらかじめ手でホコリをある程度取ってからスプレーで飛ばす必要があり、それなりに手間もかかります。

近年、エアダスターよりもおすすめされるのは「ブロワー」という機械です。本来は日曜大工などで出た木くずなどを空気で吹き飛ばすのに使う機械なのですが、それ以外の清掃目的にも使えます。ホームセンターやAmazonで3,000~4,000円ぐらいで売っています。

※弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

E-Value ハンディブロワー ダイヤル式風量調節機能付 EBL-500V

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風圧はエアダスターと比べものにならないくらい強力で、大きいホコリのかたまりなどもケースの外に吹き飛ばすことができます。ただし風圧が強力すぎるので、冷却用ファンなどに最大の強さの風を当てると破損することもあります。

筆者のように風で回ったファンを指で止めようとして羽が折れることもあるので、あらかじめファンが回らないようにテープで固定しておく。あるいはファンを指で押さえながら風を当てるなど慎重におこなうに越したことはありません。ホコリを払うのに少し時間がかかりますが、風の威力を”中”に抑えておこなうのでも良いでしょう。

注意しながらおこなう必要があるというデメリットを差し引いても、エアダスターを使うよりも圧倒的な短時間でパソコン内の掃除が終わるのはかなりのメリットです。細かい部分にも風が届き、奥まった部分のホコリを払うのに、パーツをそれぞれ取り外したりする必要もほとんどありません。

また消耗品のエアダスターとは違い、繰り返して使用することができるのでコスト面でも優秀です。マメに掃除したい人も、面倒な掃除をさっさと終わらせたい人にもおすすめできるアイテムです。

パソコン以外に車の清掃をおこなう場合にも、ざっとホコリや砂などを外に追い出し、残ったものだけを掃除機で吸い込めば終わります。吸引力が弱いハンディタイプの車用掃除機だけを使うより短い時間で掃除ができて大変便利です。家の中の掃除機のノズルでは、掃除しにくい場所もブロワーで吹き飛ばしてから掃除機を使えば家具を移動する手間も減らすことができます。

このようにパソコン以外の掃除にも使えるので便利なのですが、ものによっては電源コードが1メートル程度しかないものも多いようなので、パソコンの掃除以外に使うのであれば、長めのコンセント延長ケーブルなどを用意しておいたほうが良いでしょう。

あと動作音がかなりうるさいので、人が寝ている可能性のある早朝や夜更けに動かすのはやめておいたほうが良いでしょう。

掃除する場合の注意点

ブロワーを使っておこなう場合はそれほど気にする必要はないのですが、故障の確率を少しでも減らしたいのであれば静電気には気をつけたほうがよいでしょう。化学繊維など静電気が発生しそうな服はあらかじめ脱ぎ、作業前に金属接地物(金属の水道管とか)に触るなり、静電気除去グッズなどで体の静電気を抜いておきましょう。

同じく静電気がおきる可能性があるので、ホコリを取るためにティッシュやはたきを使うのは厳禁です。ウェットティッシュは消毒のためにアルコールだけでなく水分も含まれているので、端子や基板に水分が残ると故障の原因になります。ファンのホコリをぬぐい取る程度でしたら問題ありません。

よって、エアダスターやブロワーなどで、基板上やケース内のたまったホコリを吹き飛ばして除去するのがパソコン掃除の基本となります。

ケース外側は背面や前・上面の各端子周り(USB端子やHDMI、DVI端子など)に付いているホコリをエアダスターやブロワーなどで吹き飛ばすだけで良いでしょう。ケーブルについた汚れや加水分解によるベタつきが気になるのでしたら、端子部分以外ならウェットティッシュで拭き取っても構いません。

内側は吸気&排気まわりとファン周辺、CPUクーラーやビデオカード(グラフィックボード)に付いているヒートシンク(*2)の中のホコリをある程度吹き飛ばせば良いでしょう。完全にホコリを取りさる必要はありません。冷却用の風が通るのに問題ない程度ホコリがなくなれば良いのです。

左:掃除前、右:掃除後/わかりやすいように取らなくていいホコリもあえて取っています。

メモリやビデオカードやCPUの冷却用クーラーを取り外す必要はなく、マザーボードの上もホコリが目立って多い部分だけホコリを吹き飛ばせば充分です。パソコン基板にあるコネクタは外側のUSB端子のように抜き差し耐性がほとんどないので、掃除のたびに抜き差しすると故障の原因となります。

DDR4 DIMMソケット

https://www.mouser.jp/new/molex/molex-ddr4-dimm-socket/

DDR3 SDRAM SODIMM用コネクタ

https://www.jae.com/connectors/series/detail/id=64186&type_code=T1110>

上記、メモリコネクタのメーカー仕様を見てわかるとおり、メモリの挿抜寿命は仕様上25回程度(*3)なので、USBメモリ(Type-A端子の最低挿抜寿命が1500回~)などのように気軽かつ頻繁に抜き差しするのはおすすめしません。ホコリを取るために抜き差しを繰り返し故障確率を上げてしまっては本末転倒ですからね。

せいぜい内蔵HDDがPCケースからケーブルをつけたまま簡単に取り外せる場合のみ外して、基板面のホコリを飛ばす程度で充分です。

*2…ヒートシンクは空気に触れる表面積を増やして、対象の冷却をうながすパーツ。ビデオカードやCPUクーラーに付いている、金属製のひだ状部品。

*3…抜き差しワンセットで1回。ちなみにこの25回というのはメーカーの最低耐用回数なので実際は50~100回ぐらいの抜き差しで壊れることはまずない。ただ運用方法……例えば”メモリの動作検証用にしょっちゅう抜き差しするコネクタ”と、”挿しっぱなしでたまにしか抜き差ししないコネクタ”では状況が異なる。修理メーカーやパソコンショップでは、動作検証のために100~200回メモリを抜き差しするのはよくある話だが、それらと同じとは考えないように注意。

パソコン掃除の回数を減らす方法

実際の故障確率にそれほど影響ないことがわかっていても、筆者は「こまめに掃除していれば……」なんて後悔はしたくないので、年1~2回程度はデスクトップパソコンを開けて掃除をしています。ブロワーがあるおかげで開け閉めも含め15分程度で終わるのでそれほど時間はかかりません。ですがケーブルのつけ外しなどは多少面倒です。

掃除の回数を減らせるには越したことがないので、ケースに付いているフィルターをマメに掃除していたのですが、だんだん面倒になってきました。そこで以前使っていたパソコンのように、使い捨てのフィルターをつけることにしました。

目の細かいフィルターをつけることで、ケース側のフィルター掃除の手間が省けますし、フィルターのないパソコンケースならフィルター代わりになります。

フィルターは専用のものを買う必要はありません。筆者は100円ショップの台所で生ごみを入れる三角コーナー用の不織布タイプを使用しています。同じく100円ショップのエアコン用のフィルターを使う人もいますが、三角コーナー用のほうがいっぱい入っていてお得です。どうせ使い捨てですしホコリは侵入させずに空気が抜けて、冷却できれば問題ないわけですから。

10年ほど前GT4012jに使うために購入。まだ使い終わりません。

それらをパソコンケースの正面や側面の吸気口裏側に貼り付けるだけです。正面などファンなどに接触しそうな場所は、外れてファンに巻き込まないようしっかりと貼り付けましょう。あとは年に1~2回フィルターを取り替えるだけでOKです。

きちんと貼られていればケース内には少量しかホコリが入らなくなるので、掃除の頻度を減らすことができます。フィルターがきちんと貼られていて年に1度交換していれば、2~3年パソコンの掃除をさぼっても問題ありません。

排気口側にもフィルターをつけることでタバコのヤニが内部に入ることも防げますが、排気が悪くなったりホコリが外に出にくくなるのでおすすめしません。

部屋を舞ったホコリは床近くにたまるので、パソコンをなるべく高い位置に置くことでも、内部にホコリが入るのを防ぐことができます。パソコンケースによって(とくに電源を下に配置するタイプ)は、底面からも吸気するのでそこから内部にホコリが入ることもあるのです。

無理そうなら清掃業者へ依頼

タバコの煙に含まれるヤニ成分はベトつくために、パソコンの内部に入りホコリなどが付くとエアダスターや風の強いブロワーでもホコリが取れなくなることがあります。

ホコリの量もベタつきにより多くなりがちで、ホコリがさらに他のホコリをくっつけることになるのでショートによる故障の確率も高まるでしょう。とくに冷却用ヒートシンクあたりは目詰まりすることもありえます。

パソコンを開けて中身を確認し「あ……これは難しそうだ」「ブロワーでも無理だろうな」と思ったら、無理をせずにパソコンの修理業者や清掃業者などの専門家に任せるのが良いでしょう。

本当はノートパソコンのような排熱性の悪いパソコンほど清掃が重要なのでしょうが、メンテナンス性が悪いのでデスクトップパソコンのように分解して内部を掃除するのはおすすめできません。分解できても元に戻すのが困難なので、一般人は絶対に分解および掃除はしないようにしましょう。

故障の確率を下げるために内部を掃除するのに、分解と組み立ての段階で故障させてしまっては本末転倒です。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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