不要になったパソコン、どうすればいいの? 無料で処分できるの?
老朽化や故障などで使えなくなってしまったパソコン、どうしていますか?
家に置いておくのも邪魔になるし、かといって、ごみの日に出してもいいのでしょうか? パソコンは粗大ごみなのでしょうか?
そんな不要になったパソコンの処分についてお困りになっている方も多いのではないでしょうか。
ここではパソコンの正しい廃棄・処分の方法についてご紹介します。
パソコンを廃棄・処分する前に行うべきこと/データ移行
新しいパソコンを購入し、古いパソコンに入っている各種データやアドレス帳、ソフトウェアなどをそのまま使用したいときはデータの移行作業が必要になります。
データの移行方法は、機種やOSによって異なります。
主な方法としては、新旧双方のパソコンをWi-Fiもしくはケーブルでつなぎ、移行用のソフトウェアを使って移行する方法、古いパソコンのデータをクラウド上に保存し、新しいパソコンでそのデータを取り込むといった方法などがあります。
OSや機種、移行方法によっては、文書・写真・音楽などのデータやアドレス帳は移行できても、ソフトウェアは移行できないなど、それぞれ条件がありますので、あらかじめご利用機種のデータ移行方法をしっかり調べてから行いましょう。
また、移行したいデータはあるものの、古いパソコンが壊れて使えないというケースもあるでしょう。
その場合、古いパソコンから物理的にHDD(ハードディスクドライブ)を取り出し、そこに直接ケーブルを挿してデータを取り出すという方法があります。
しかし、慎重に行わないとデータそのものが壊れてしまう危険性があるので、自信のない方はプロの修理業者などに依頼することをおすすめします。
パソコンを廃棄・処分する前に行うべきこと/データ消去
パソコンにはさまざまな個人情報が記録されています。
ご自身の氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスなどのほか、SNSおよび会員サイトのIDやパスワード、ネットショッピングなどを行っていればクレジットカード情報や購入履歴、インターネットバンクキングを行っていれば銀行口座情報。
さらにはご自身で作成した書類、デジカメやスマホで撮影した写真など、プライバシーや機密に関わるあらゆる個人情報が残されている可能性があります。
また、アドレス帳が登録されていれば、家族・親戚、友人・知人、会社の同僚、取引先などの氏名、勤務先、電話番号、メールアドレスなども記録されています。
もしもこうしたパソコンをそのまま廃棄・処分すると、個人情報を悪用され、トラブルになる危険性があります。
そのため、パソコンは廃棄・処分する前に、記録されているデータを確実に消去しておく必要があります。
では、データ消去はどのように行えばいいのでしょう。
通常のパソコン作業のように、ファイルをパソコン内のごみ箱に入れるだけでは、データ消去することはできません。
また、初期化(リカバリー)を行っても、データを完全に消去することはできず、復元ソフト等を使用して情報を取り出されてしまうリスクがあります。
パソコン内のデータを完全に消去するには、次のような方法があります。
【ご自身で行う方法】
●データ消去の専用ソフトを使用する。
●パソコンからHDDを取り出し、物理的に破壊する。
【プロに依頼する方法】
●回収してくれるパソコンメーカーに依頼する。
●プロのパソコン業者に依頼する。
パソコン内のデータを消去せずに廃棄・処分することは、非常に危険です。ご自身だけでなく、家族や友人知人、会社の同僚、取引先など、多くの人々に迷惑をかけることにもなりかねません。
たとえ大した情報が入っていないと思う場合でも、パソコンを廃棄・処分する前には、必ずデータの完全消去を行うことを徹底しましょう。
不要パソコンの正しい廃棄・処分方法は?
パソコンは資源有効促進利用法の対象になっており、リサイクルすることが義務付けられています。そのため、粗大ごみ等で廃棄することはできず、適切な処分を行わなければなりません。
不要になったパソコンを適正に処分するためには、以下のような方法があります。
1)パソコンメーカーに回収してもらう。
2)家電量販店・パソコンショップに回収してもらう。
3)地方自治体に回収してもらう。
4)パソコン回収業者に回収してもらう。
2003年10月以降に発売された家庭向けパソコンについては「PCリサイクルマーク」が付いており、このマークが貼付されたパソコンはパソコンメーカー等に無料で回収してもらうことができます。
ただし、同マークの付いていないパソコンの引き取りについては有料になります。
下記では、回収先それぞれの特徴についてご紹介していきましょう。
パソコンメーカーによる回収
不要パソコンの廃棄・処分にあたり、最もポピュラーな方法がパソコンメーカーに引き取ってもらう方法です。
パソコンリサイクル法の施行以降、パソコンメーカーは自社パソコンの回収が義務付けられており、ほとんどメーカーが回収を行っています。
手順としては、不要になったパソコンのメーカーを調べ、同メーカーのホームページなどから申し込みます。申し込んでから数日後に、配送用の伝票が届くので、ご自身で梱包を行い、指定の配送業者に配送を依頼します。
PCリサイクルマークの付いたパソコンであれば無料で引き取ってもらえますが、PCリサイクルマークのないものについては有料になります。その場合の金額については各メーカーにお問い合わせください。
また、多くのメーカーがデータの消去サービスも実施していますので、申し込み時に確認しておきましょう。
ご自身で梱包しなければならない面倒や、申し込んでから数日を要するというタイムラグはありますが、法律に基づいて回収してくれることや、データ消去も任せることができることから、安心な回収方法といえるでしょう。
家電量販店・パソコンショップによる回収
新しいパソコンを購入した場合、購入先の家電量販店やパソコンショップで古いパソコンを引き取ってもらえることがあります。
場合によっては、下取り扱いで新しいパソコンの購入金額が値引きになったり、データ消去を行ってくれるなどのサービスが受けられることがあります。
ただし、店舗によって回収サービスの有無や条件は異なりますので、事前に調べておくことをおすすめします。
自治体による回収
2013年施行の「小型家電リサイクル法」に基づき、一部の市区町村ではパソコンの無料回収を行っています。
お住まいの地域で原則無料で引き取ってもらえるので手軽で便利な一方、パソコンの回収を行っている自治体はまだ少なく、行っていたとしてもノートパソコンやタブレット型パソコンなど小型パソコンだけというところがほとんどです。
また、回収方法についても、粗大ごみのように申し込んで自宅前に出す方法、窓口に持ち込む方法、各地域に設置している回収ボックスに入れる方法などさまざま。
東京都を例にしても区や市によってそれぞれ取扱いが異なりますので、事前に各自治体のホームページで調べるか、問い合わせてみることをおすすめします。
なお、自治体回収の場合、基本的にデータ消去はご自身で行うことになります。
パソコン回収業者による回収
民間のパソコン回収業者に依頼するという方法もあります。
基本無料で引き取ってもらえますが、収方法や回収条件はさまざま。ご自身で梱包して郵送する業者もあれば、自宅まで引き取りに来てくれる業者もあります。
データ消去についても、無料で行ってくれる業者、有料で行ってくれる業者、データ消去には対応していない業者などがあります。
また、業者によっては引き取り不可のパソコンもあるなど、各社でそれぞれ異なりますので、インターネットなどで調べて比較検討し、ご自身に合った業者をお選びください。
なお、業者によっては引き取った後に適正な処分を行わず、情報漏えいや環境破壊などを引き起こすリスクもあるので、民間のパソコン回収業者に依頼する際は、慎重に検討し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
不要になったパソコンの回収手順
ここでは、パソコンの処分方法として最もポピュラーである、パソコンメーカーによる回収の場合の手順をご紹介します。
他の回収方法にも共通する情報も多くありますので、参考になさってください。
1)処分したいパソコンの情報を確認
回収を申請する際に、以下の情報が必要になるので、あらかじめ確認しておきましょう。
・製品カテゴリー(デスクトップ、ノート、液晶ディスプレイ一体型などのパソコンの種類)
・型番(シリアル番号)
・PCリサイクルマークの有無
2)パソコンメーカーに申し込み
不要になったパソコンのメーカーのリサイクル担当窓口に回収を申し込みます。ほとんどのメーカーがインターネットもしくは電話にて受け付けています。
PCリサイクルマークがあるパソコンについては無料ですが、PCリサイクルマークのないものは有料になります。費用および支払い方法については各メーカーにご確認ください。
3)梱包
パソコンメーカーから配送用の伝票が送られてきます。その間に、パソコンを梱包します。
梱包方法はメーカーによって異なりますが、おおむね配送途中に破れない程度の簡易梱包でOKです。ダンボールもしくは厚手のビニール袋を2枚重ねで使います。
梱包後の大きさは幅・奥行・高さの合計が1.7m以内、重量は30kg以内が基本です。
なお、マウス、キーボード、ACアダプタなど、もともとパソコンに標準装備されているものに限り、同梱が可能です。
4)配送
メーカーから伝票が届いたら、必要事項を記入の上、梱包したパソコンに伝票を貼り、指定の配送業者に配送を依頼します。
これで回収作業は完了。配送されたパソコンは再資源化センターでリサイクルされます。
なお、回収してくれるメーカーがない場合は、その他の回収方法を利用するか、一般社団法人 パソコン3R推進協会に相談しましょう。