家庭でのNAS使用について
パソコンを使う上で必須なものの1つに、ストレージがあります。
ストレージというのは、パソコンのデータを保管しておくためのものです。
写真や音楽、文書やプログラムなどを保存しておくことができなければ、パソコンの使用用途は大幅に制限されてしまいます。
そんなストレージにもいろいろな種類のものが存在しています。
大きく分けると
・内蔵タイプのもの
・外付けタイプのもの
の2つに分けられます。
内臓タイプものはパソコンの内部に組み込むことで使用できます。
パソコンを開けて組み込むという手間が掛かるももの、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。
対して外付けタイプのものは、USBケーブルで接続することで使用できます。
別途電源を必要とするデメリットがありますが、接続が簡単で使用しやすいというメリットがあります。
そんな外付けタイプのストレージの1つとして、「NAS」というものが存在しています。
ここから先では、通常の外付けタイプのストレージとはまた違う機能を使用することができるNASについて紹介します。
最初に紹介するのは「NASとはどのような装置なのか」についてです。
NASが通常の外付けタイプのストレージとどのような点で違っていて、どのような使用方法で便利なのかについてです。
次に紹介するのは「一般的にNASが使用される場面」についてです。
主にどこで使用されているものなのか、何を目的として使用されているのかについて紹介します。
3つ目に紹介するのは「家庭でのNAS使用」についてです。
ここが今回の本題とも言えるもので、家庭内でもNASを使用することで得られるメリットがあることを紹介します。
そして最後に、「家庭使用向けのオススメのNAS」についても紹介します。
NASにもいろいろな機種が存在していて、それによって性能も違っているため、そこから選ぶ方法を紹介しています。
NASとはどんな装置なのか
NASというのはNetwork Attached Storageの頭文字をとった略称です。
これは簡単に日本語訳すると、ネットワーク接続用のストレージとなります。
通常の外付けハードディスクはそのままではネットワーク上に接続されているわけではありません。
その点について、具体的な違いを紹介します。
ネットワーク接続されている、というのはどういうこと?
NASを使用する場合、まずはNASとハブやルーターなどの接続を分岐するための機器を接続することになります。
その上で、この分岐するための機器に使用したいパソコンをそれぞれ接続することで、どの機器からでもNASにアクセスできるようになります。
複数台のパソコンから使用したいデータやファイルがある場合、NASに保存をしておけばより簡単に共有できるということです。
では、これは通常の外付けハードディスクやUSBメモリではできないことなのでしょうか?
実は類似していること自体はできます。
ただし、利便性の面ではNASを使用した方が優れている状態となります。
通常の外付けハードディスクやUSBメモリは、パソコンから共有設定を行うことで共有状態とすることができます。
この場合、1台のパソコンとストレージが接続していて、他のパソコンは、そのパソコンとネットワークで接続している状態とする必要があります。
この方法でネットワーク上にストレージを共有した場合、接続しているパソコンが起動している際しか認識されません。
対してNASはNASの電源が入っていれば共有状態となるため、複数台のパソコンを個別に使用したい場合でも問題なく共有できる点で優れています。
NASの使用電力はパソコンを起動しているのに比べると低いため、電力使用を抑えつつ共有ができます。
また、USBハブではなく無線機能の付いたルーターに接続している場合、無線で共有を行えるようになります。
そのため、動き回って使用するデバイス、例えばスマートフォンやタブレット、ノートパソコンで使用する場合、無線範囲内なら共有を受けられます。
リモートアクセス機能
NASによっては、リモートアクセス機能というシステムが搭載されています。
このリモートアクセス機能は、無線ネットワーク上にいる場合だけでなく、インターネットを通してNASにアクセスできる仕組みです。
つまり、外出先からでもNASにアクセスできるようになるということです。
例えばスマートフォンで外出中に撮影した写真を、すぐさまNASに保存することができます。
仕事用に必要なファイルをタブレットに入れ忘れたとしても、仕事先からNASのデータを参照しダウンロードできます。
自宅のパソコンから仕事場のNASにアクセスし、残務処理をすることもできるでしょう。
もちろんセキュリティは設定できるようになっているため、誰でもアクセスできるものではありません。
より便利なデータ使用のために活用できるのがNASのメリットです。
特化した機能も
NASの種類によっては、特定の目的のために特化された機能が搭載されているものもあります。
例えば写真の保存や管理に特化した機能が挙げられます。
デジタルカメラをNASに接続できるようにすることで、撮影した写真が自動的にストレージ上に保存されるようになる仕組みが可能です。
カメラが壊れてしまっても、NAS上にはデータが残っているため安心して使用できます。
また、この撮影した写真を専用のユーザーインターフェイスから管理できるフォトアルバム機能のような仕組みが用意されているものもあります。
他にも、テレビの録画のために使用することに特化している仕組みなどもあります。
番組表の管理ができるようになっていることで、録画管理がしやすくなっている、というような内容です。
一般的にNASが使用されるのは
上記のような仕組みから、NASはどちらかというと家庭用よりもビジネス用で使用されることが多い傾向があります。
セキュリティをしっかりと設定すれば、仕事に必要なデータを一括管理できることにメリットがあるためです。
パソコンをサーバーマシンとして用意する必要がなく、かつ電気使用量も抑えることができるため、経費の削減にも効果を発揮します。
ビジネスを目的としてNASを使用する場合、重要なポイントとなるのはファイルの安全性です。
仕事に使用する以上、破損してしまうと困るデータが多く、どのようにしてその保全をするかが重要になるためです。
NASにおけるデータの安全性を左右するポイントとなるのは「RAID」です。
RAIDというのは、どのようにしてデータを保存するのかの仕組みを意味しています。
NASに使用されているRIADには「RAID0」「RAID1」「RAID5」「RAID6」の4つがあります。
RAID0
RAID0は、NAS内の複数のハードディスクに、ファイルを分割して保存する仕組みです。
アクセス速度を向上させることができますが、データ保安に関して特別なメリットはありません。
RAID1
RAID1は、1つのファイルを複数のハードディスクにコピーして保存する仕組みです。
どちらかのハードディスクが壊れても、もう片方のハードディスクから復旧が行なえます。
データ保安上のメリットがありますが、容量は多く必要となります。
RAID5
RAID5は、RAID0とRAID1の両方の特性を持った保存方法です。
コピーした上で分割したファイルを複数台のハードディスクに保存する方法を取っています。
ハードディスクが同時に2つ破損しない限り、データを保安できます。
RAID6
RAID6は4台以上のハードディスクが使用されているNASで使用できる保存方法です。
コピーしたファイルを4台以上のハードディスクで保管しているため、2台ハードディスクが同時破損しても復旧できます。
この内、RAID0とRAID1については、どちらを使用するか選択できるようになっているNASが多いです。
RAID5とRAID6は対応しているNASでなければ使用できません。
ビジネス使用なら、データ保安が特に重要になるため、RAID5、RAID6に対応したものを選ぶメリットが大きくなります。
家庭でもNASは使用できる?
上の項目でNASはビジネスで使用されることが多いと紹介しましたが、かといって家庭で使用できないわけではありません。
家庭でも様々な場面でNASは活躍できます。
例えば違う部屋で複数台のパソコンを使用している場合、どちらからでも使用したいデータが存在することは多くあります。
このようなデータをNASを経由することで使用できるのは大きなメリットです。
また、外出中にはスマートフォン、仕事先ではタブレット、プライベートではパソコン、というように使い分けが可能になります。
リモートアクセス機能のあるNASを選択していれば、インターネット接続環境がある場所からならアクセスできるためです。
家庭用のオススメのNAS
最後に、家庭で使用する場合に適したNASについて、何台か紹介します。
アイ・オー・データ HDL-AAシリーズ
最大アクセス速度→116メガバイト/秒(RAID0)
対応RAID→RAID0,RAID1
ストレージ容量→1テラバイト~6テラバイト
価格→21,450円(税込)(1テラバイト)~54,780円(税込)(6テラバイト)
※アイ・オー・データ公式サイトより。2019年4月現在
こちらのNASは、幅広い容量が用意されているため、どれだけの容量を保存する予定かに併せて選択できます。
基本的なNASの機能に加えて、古いNASからのデータ移行の際に、より簡単なデータコピーを可能とする機能が搭載されています。
ハードウェア保証も3年(ハードディスクは1年)と安心して使用できます。
BUFFALO LS520DGシリーズ
最大アクセス速度→100メガバイト/秒(RAID0)
対応RAID→RAID0,RAID1
ストレージ容量→2テラバイト~8テラバイト
価格→36,630円(税込)(2テラバイト)~69,850円(税込)(8テラバイト)
※BUFFALO公式サイトより。2019年4月現在
こちらのNASは最大で8テラバイトの大容量にまで対応しているのが特徴です。
テレビの録画を保存し、ネットワーク内の度のテレビからでも見られるようにするDTCP-IP機能が搭載されています。
ダビング機能によってディスクへの書き込みにも使用できるため、テレビ録画を目的とする場合に適しています。
家庭用のNASに関するまとめ
家庭でも十分NASを使用できる場面があることがお分かりいただけたでしょうか?
どのような目的で使用するかによって、適したNASには違いがあります。
ストレージ容量や、RAIDによる保存方法の違い、搭載されている便利機能などから使用するものを選びましょう。