無線LANが繋がらない原因と対処法
新しい場所で無線LANに接続できなかったり、今まで使えていたのに突然無線LANが繋がらなくなったりというトラブルはよく起きがちです。
今回の記事では、無線LANが繋がらない原因と対処法についてご紹介します。
無線LANが繋がらない主な原因
無線LANが繋がらない場合、ルーター側かデバイス側のどちらかに原因があると考えられます。対処するには、まずはどの装置に不具合があって無線LANが繋がらないかを特定していく必要があります。
原因1【インターネットがダウンしている】
世界中に張り巡られているインターネット全体がダウンすることは通常では有りえません。インターネットは、冷戦時代に核戦争が起きてもダウンしないネットワークとして開発されました。分散型ネットワークという形態なので、どこか1ヶ所や複数ヶ所が切断されたとしてもネットワーク全体は維持されるのです。地球全体が滅亡でもしない限り、インターネット全体がダウンすることは考えられないのです。
原因2【地域の電話回線網がダウンしている】
地震や台風といった大規模自然災害で、地域の電話回線網がダウンするとインターネットに繋がらなくなります。電柱の間に張り巡らされている電話回線が切断されたり、電話交換局が物理的に損壊したりすると電話回線網がダウンし、無線LANも繋がらなくなるのです。
この場合は、周囲の状況を確認し、テレビやラジオなどで情報を得るようにしてください。
原因3【停電している】
無線LANは、デバイスとルーターの間で無線通信を行います。もし停電すると、ルーターの電源が落ちてしまい無線LANは繋がりません。ノートパソコンやスマートフォンはバッテリー駆動なので停電でも使えるのですが、ルーターは家庭用電源から電力を得ているので停電時は使えません。
この場合は、建物全体の電気が停電していないか確認しましょう。自分のいる建物が停電していても、近隣の建物は停電していないことがあります。この場合はブレーカーが落ちている可能性があるので、ブレーカーを確認しましょう。
原因4【デバイスのハードウェア故障】
パソコンやスマートフォンには、無線LANに接続するための無線LANアダプターという装置が入っています。この無線LANアダプターが物理的に故障していると、無線LANに繋がりません。
他のデバイスは無線LANに繋がっているのに、1台だけ繋がらない場合は、そのデバイスのハードウェア故障や設定の誤りが疑われます。
原因5【デバイスの設定】
デバイスとルーターを無線LANでつなぐ際には、デバイス側でさまざまな設定が必要です。SSIDやパスワード、IPアドレスの取得方法などの設定が間違っていると、無線LANに繋がりません。
原因6【無線LANルーターのハードウェア故障】
無線LANルーターが故障していると、無線LANに繋がりません。この場合は、全てのデバイスが無線LANに繋がらなくなります。無線LANルーターの故障を示すインジゲーターランプが点灯・点滅していないか確認しましょう。
原因7【無線LANルーターの設定】
無線LANルーター側にもさまざまな設定があります。SSIDやパスワードもルーター側から変更できますし、特定のデバイスのみを接続するように設定することもできるのです。
無線LANルーターの設定を確認・変更する場合は、ネットワーク管理者がWebブラウザからアクセスします。
無線LANが繋がらない場合の対処方法
無線LANが繋がらない原因がルーター側にあるかデバイス側にあるかを特定できたら、対処方法を一つずつ試していきましょう。
対処方法1【ルーターに近づく】
ルーターとデバイスの物理的距離が離れすぎていると、無線LANに繋がりません。デバイスの無線LANインジゲーターアイコンの電波強度を見ながら、ルーターに近づいてみて繋がるか確認しましょう。
無線LANの電波は、ルーターを中心に同心円状に広がります。ルーターを建物の中心部分に設置するといった工夫も重要です。また、電波は水平方向に広がるので、垂直方向(違う階)だと繋がりにくくなります。
コンクリート壁や金属製のドアも電波を遮る原因となります。また、5Ghz帯の電波は遮蔽物に弱いという特性があります。壁やドアなどの遮蔽物がある場合は、2.4Ghz帯を試してみるとよいでしょう。
一方、2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothデバイスなどの発する電波と干渉しやすいという特性があります。こういった機器の近くで使う場合は、5GHz帯を試してみましょう。
対処方法2【デバイスのWi-Fiスイッチを確認】
パソコンやスマートフォンには、無線LANアダプター(Wi-Fi)のオン/オフスイッチがあります。このスイッチがオフになっていると、無線LANに繋がりません。
スマートフォン(Android、iOS)は、「設定」>「Wi-Fi」から、「Wi-Fiスイッチ」がオンになっているか確認します。また、「機内モード」になっている場合も無線LANに繋がらないので確認しましょう。
Macの場合は、メニューバーから「Wi-Fiアイコン」をクリックし、「Wi-Fi:入」をチェックします。
Windows 10の場合は、「設定」>「ネットワークとインターネット」>「Wi-Fi」に「Wi-Fiスイッチ」があります。ノートパソコンの場合、物理的なWi-Fiスイッチが本体側面やキーボード上部に設置されている機種もあります。
対処方法3【デバイスを再起動】
いつもは無線LANに繋がっているのに、突然繋がらなくなったといった場合は、まずパソコンやスマートフォンといったデバイスを再起動してみましょう。再起動することで障害となっている接続情報がクリアされ、繋がるようになる可能性があります。
無線LANが繋がらない場合以外でも、パソコンのトラブルの多くは再起動で復旧するケースがよくあります。困ったときにはまず再起動してみるという習慣を覚えておくとよいでしょう。
対処方法4【モデムとルーターを再起動】
デバイスを再起動しても無線LANが繋がらない場合、モデム(データ回線終端装置のことを一般的にモデムと総称しますが、回線によってはONUやDSUと呼びます)とルーターも再起動してみましょう。再起動することにより障害となっている接続情報がクリアされ、繋がるようになる可能性があります。
モデムとルーターは、電源ボタンがあればそのオン・オフで再起動ができます。電源ボタンがわからない場合は、直接コンセントから電源を抜いてしまっても大丈夫です。再起動の手順は以下の通りです。
1. ルーターの電源を落とす。
2. モデムの電源を落とす。
3. モデムの電源を入れる。
4. ルーターの電源を入れる。
※モデムとルーターが通信を確立させるまで数分かかります。
対処方法5【SSIDとパスワードを確認】
無線LANルーターのSSIDとパスワードが間違っていると、無線LANに繋がりません。ネットワーク管理者に正確なSSIDとパスワードを教えてもらい、正確に入力しましょう。
無線LANルーター本体にSSIDとパスワードが刻印されている機種もありますが、SSIDとパスワードは変更できるので、それが正しいSSIDとパスワードであるとは限りません。
また、最近の無線LANルーターは、2.4GHz帯と5GHz帯の2種類の電波を両方使える機種が主流です。こういった機種では、2.4GHz帯と5GHz帯は異なるネットワーク(LAN)として構成され、それぞれ別のSSIDとパスワードが設定されているので注意が必要です。
例えば、パソコンを2.4GHz帯のネットワークに繋ぎ、プリンターを5GHz帯のネットワークに繋いだとします。この場合、同じ無線LANルーターを使っているのですが、それぞれ別のネットワークに繋がっているので印刷することができません。
対処方法6【モデムの通信状態を確認】
デバイスのWi-Fiインジゲーターアイコンに黄色のビックリマークが表示されているのは、無線LANには繋がっているけど、インターネットに接続できない場合です。この場合は、モデムの通信状態を確認しましょう。
モデムにはいくつかのランプがあり、接続状態を確認することができます。モデムの取扱説明書を見て、状態異常のランプが点灯・点滅していないか確認しましょう。
インターネット側の接続異常ランプが点いている場合は、回線ケーブルがきちんと接続されているか抜き差ししてみます。モデムを再起動し、それでも改善しない場合は、回線事業者に連絡しましょう。
対処方法7【MACアドレスフィルタリングを確認】
無線LANルーターは、デバイス側の無線LANアダプター(ネットワークインターフェイスカード、NIC)の固有の番号であるMACアドレスによってデバイスを識別しています。
無線ルーター側の設定で、特定のMACアドレスを持つネットワーク機器しか接続できないように設定することができます。通常はあまりこの設定を使いませんが、よりセキュリティを高めたいネットワークで設定しているケースがあります。
この場合は、ネットワーク管理者に使いたいデバイスのMACアドレスを伝えて登録してもらいましょう。
対処方法8【IPアドレス取得方法を確認】
通常、デバイスのIPアドレス(ローカルIPアドレス)は、DHCPという仕組みで無線ルーターが自動的に割り振るようになっています。もしデバイス側のネットワークアダプター設定が固定IPアドレスになっていると、ルーター側と矛盾が生じて繋がらなくなってしまうのです。
Windows 10の場合、IPアドレス取得方法は下記の手順で確認できます。
1. 「設定」>「ネットワークとインターネット」を開きます。
2. 「状態」を開きます。
3. 「ネットワーク設定の変更」にある「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。
4. 「Wi-Fi」(確認するネットワーク名)のほうを右クリックします。
5. 「プロパティ」をクリックします。
6. 「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択します。
7. 「プロパティ」ボタンをクリックします。
8. 「全般」タブで、「IPアドレスを自動的に取得する」にチェックが入っていることを確認します。
9. 同じく「全般」タブで、「DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する」にチェックが入っていることを確認します。
まずは再起動から試してみましょう!
無線LANに繋がらない原因は、主にモデム・ルーター側に原因があるケースと、デバイス側に原因があるケースに大別されます。
まずは他のデバイスの接続状況を確認するなどして、原因がどちら側にあるかを特定しましょう。
各機器の再起動が対処のスタート地点です。再起動で解決しない場合は、それぞれの設定を一つずつ確認してみてください。