Bluetoothの使い方と繋がらない場合の対処方法
「Bluetooth」は、数mから数10m程度の近距離でデジタル機器同士が無線通信を行うための規格です。基本仕様のBluetooth Basic Rate (BR)、通信速度を速くしたEnhanced Data Rate(EDR) 、省電力仕様のBluetooth Low Energy (LE) から構成されています。
Bluetoothは2.4GHz帯の周波数を利用し、主にパソコンやスマートフォンなどの親機と、キーボードやマウス、ヘッドフォンなどの子機を無線接続します。親機が多くの子機のハブとなる1対n通信のWi-Fiと違い、Bluetoothは1対1の通信が基本となっています。
Bluetoothのバージョン
Bluetoothの現在の最新バージョンは「Bluetooth 5.0」ですが、普及しているのは「4.0」・「4.1」・「4.2」です。各バージョンの特徴は下表の通りとなっています。
Blutooth | 公開年月 | アップデート内容 |
---|---|---|
ver. 1.0 | 1999年7月 | 初期バージョン |
ver. 1.1 | 2001年2月 | 普及バージョン |
ver. 1.2 | 2003年11月 | 2.4GHz帯域の無線LAN などとの干渉対策 |
ver. 2.0 | 2004年11月 | Enhanced Data Rate (EDR) をオプションに追加 |
ver. 2.1 | 2007年3月 | Near Field Communication (NFC) に対応し、ペアリングが簡略化 |
ver. 3.0 | 2009年4月 | 最大通信速度が24Mbpsとなる High Speed (HS) をオプションに追加 |
ver. 4.0 | 2009年12月 | Bluetooth Low Energy (LE) が追加 |
ver. 4.1 | 2013年12月 | Bluetooth Low Energyにモバイル端末向け通信サービスの電波との干渉を抑える技術など追加 |
ver. 4.2/td> | 2014年12月 | Bluetooth Low EnergyにData Packet Length Extension を追加 |
ver. 5.0 | 2016年12月 | Bluetooth Low Energy のデータレートが2Mbps, 1Mbps, 500kbps, 125kbpsに変更 |
Bluetoothは3.0以前のグループと4.0以降のグループで互換性がありません。しかし、実際のインターフェイスはユーザーが互換性を意識しなくてもよいように実装されている場合がほとんどです。
Bluetoothのクラス
Bluetoothのクラスは、電波出力強度を規定する概念です。このクラスによって電波到達距離が変わります。BR/EDRとLEのクラスは下表のようになっています。
Bluetoothのクラス (BR/EDR)
クラス | 出力 | 到達距離 |
---|---|---|
Class 1 | 100mW | 100m |
Class 2 | 2.5mW | 10m |
Class 3 | 1mW | 1m |
Bluetoothのクラス (LE)
クラス | 出力 |
---|---|
Class 1 | 100mW |
Class 1.5 | 10mW |
Class 2 | 2.5mW |
Class 3 | 1mW |
もし送信側と受信側でクラスが違っていても、送受信は可能です。その場合、低いレベルのクラスが適用されます。例えば、ワイヤレスマウスがクラス1でノートパソコンがクラス2の場合、クラス2が適用されます。
Bluetoothのプロファイル
Bluetoothはキーボードやヘッドフォンといった機器の種類ごとに通信プロトコルが異なり、これを「プロファイル」と呼んでいます。Bluetooth 4.0からは大幅にプロファイルの種類が増えました。代表的なBluetoothプロファイルを下表に示します。
プロファイル | 機能 |
---|---|
A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) | 音声をヘッドフォンやイヤホンに伝送 |
AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile) | AV機器のリモコン操作 |
BIP (Basic Imaging Profile) | 静止画像を転送 |
BPP (Basic Print Profile) | プリンタへ転送・印刷 |
FTP (File Transfer Profile) | パソコン同士でのデータ転送 |
HID (Human Interface Device Profile) | マウスやキーボードなどの入力機器を無線化 |
HSP (Headset Profile) | Bluetooth搭載ヘッドセットと通信 |
OPP (Object Push Profile) | 名刺データの交換 |
PAN (Personal Area Network Profile) | 小規模ネットワークを実現 |
HDP (Health Device Profile) | 健康管理機器同士を接続 |
Bluetoothのペアリングの方法
機器同士を初めてBluetooth接続する際には、お互いに相手を認識するための「ペアリング」という操作が必要です。2回目以降はペアリングせずにすぐに使用できるようになります。
ペアリングモードの方法はデバイスによって異なります。デバイスの取扱説明書に従って操作しましょう。NFCを使ってもっと簡単にペアリングできるデバイスもあります。
今回は、スマートフォンとBluetoothヘッドフォンの接続を例にペアリング手順を説明します。
1.ヘッドフォンの電源をオンにする
最初に、子機(送信側)の電源をオンにします。
2.ヘッドフォンのペアリングモードをオンにする
次に、子機(送信側)をペアリングモードにします。デバイスによって異なりますが、Bluetoothボタンや電源ボタンなどを長押しすることによってペアリングモードに入る場合がほとんどです。
3.スマートフォンのBluetoothをオンにする
今度は、親機(受信側)のBluetooth機能を有効にします。Androidの場合は、「設定」>「接続の設定」>「Bluetooth」からオンにできます。クイック設定からなら、素早くBluetooth設定画面にアクセスできます。
4.スマートフォンが周辺のBluetooth機器を自動検索する
子機(送信側)がペアリングモードになっていると、親機(受信側)が子機を検索することができます。Androidの場合、「新しいデバイスとペア設定する」をタップします。
5.目的のヘッドフォンが表示されたら選択して接続する
子機(受信側)のデバイス名(機種名や型番)が表示されたら、選択して「接続」をタップすればペアリングの完了です。
Blueoothが繋がらない原因と対処方法
Bluetoothが繋がらない原因と対処方法をご紹介します。
1.Bluetooth対応デバイスじゃない
親機と子機の双方がBluetoothに対応していないと、当然ながらBluetooth接続できません。パソコンには、Bluetoothレシーバーが内蔵されていない機種もあるのです。
この場合は、外付けBluetoothレシーバーを購入してパソコンのUSBポートに挿し込めば、Bluetoothが使えるようになります。
2.子機(送信側)がペアリングモードに入っていない
Bluetoothデバイス同士を接続する場合、初回にペアリングが必要です。このとき、子機(送信側)がペアリングモードになっていないと親機(受信側)で子機を検出することができません。
ペアリングモードの方法はデバイスによって異なります。デバイスの取扱説明書に従って操作しましょう。
3.すでに他のデバイスと接続されている
Bluetoothデバイスは、複数の親機との同時接続ができません。例えば、ヘッドフォンをパソコンに接続して使っていながら、同時にスマートフォンに接続することはできないのです。
この場合は、パソコンのBluetoothをオフにしてヘッドフォンが無接続状態になってから、スマートフォンと接続するようにします。Bluetoothは最後に接続していた機器と再接続しようとするので、パソコン側のBluetoothをオフにしておく必要があるのです。
4.ペアリング情報が削除されている
製品によりますが、Bluetooth機器は複数台のペアリング情報を記憶することができます。しかし、登録可能台数の上限を超えると、接続履歴が古い機器のペアリング情報が削除されてしまいます。
こういった場合は、改めてペアリングをすれば接続できるようになります。
5.電波干渉が起きている
Bluetoothは、2.4GHz帯の周波数を利用しています。そのため、Wi-Fiや他のBluetoothデバイスと電波干渉が起きる可能性があるのです。
接続できない場合は、他のデバイスの無線をオフにして再試行してみてください。
6.Bluetoothバージョンが非互換
Bluetoothは、バージョン3.0以前のグループと4.0以降のグループでは互換性がありません。親機(受信側)と子機(送信側)のバージョンを確認しましょう。
7.Bluetoothプロファイルが非実装
Bluetoothは、接続するデバイスの種類ごとにプロファイルと呼ぶプロトコルが異なります。例えば、あるヘッドフォンのプロファイルが「A2DP」だった場合、スマートフォンのBLuetoothに「A2DP」が実装されていないと接続できないのです。
8.距離が離れすぎている
Bluetooth機器同士の接続距離はクラスによって規定されています。クラス2の機器なら、最大10mまで通信可能です。しかし、机や壁などの素材によっても通信可能距離は変わります。近くで接続できるかどうか試してみましょう。
まとめ
Bluetoothは、デジタル機器同士を手軽に無線接続できる便利な規格です。スマートフォンが物理的な接続(音声ジャックなど)を減らしていく傾向にあるなか、今後Bluetoothデバイスが増えていくことが予想されます。
ちょっと複雑なBluetoothですが、この機会にきちんと仕組みを理解してさまざまなBluetoothデバイスを活用してみてください。