HDDとSSDはどっちがおすすめ?
パソコンのデータを長期的に保存するための補助記憶装置は、従来から使われてきたHDD(ハードディスクドライブ)と、最近になって台頭してきたSSD(ソリッドステートドライブ)の2種類がメインです。
パソコンを購入する場合や、外付け・ポータブルドライブを購入する際に、HDDとSSDでどちらを選ぶのがよいのか迷いますよね。
今回の記事では、HDD・SSDそれぞれの特徴とメリット、価格の違いについて詳しくご紹介します。
HDDの特徴とメリット
HDDの特徴
HDD(Hard Disk Drive、ハード・ディスク・ドライブ)は、その名前が示す通りケース内に収められている硬い円盤型の磁気ディスクに、磁気ヘッドでデータを記録する装置です。
HDDの磁気ディスクと磁気ヘッドは、クラブDJがスクラッチするレコードと針の関係に似ていますが、HDDの場合は両者が物理的に接触していません。
デスクトップ用は3.5インチのディスクが標準で、ノートパソコンやポータブルドライブでは小型の2.5インチディスクが多く採用されています。
いずれも、長方形のケースに密閉されてるので、中で円盤が回転している様子を伺うことはできません。
HDDの容量
長い歴史があるHDD。2000年代前半まではGBクラスでしたが、次第にTBクラスが当たり前になり、現在では最大14TBの製品が発売されています。
HDDの接続方式
パソコン内蔵タイプのHDDは、Serial ATA(シリアルエーティーエー)という規格のインターフェイス・ケーブルでマザーボードと接続します。2000年代に入って制定されたSerial ATAは、現在では第3世代のSerial ATA 3となり、転送速度は6Gbpsとなっています。
外付けタイプのHDDは、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)で接続します。HDDの読み書き速度は、USB2.0や3.0といった世代の違いに大きく影響されません。しかし、世の中のデバイスのUSB規格は日々アップデートされているので、新たに購入するなら3か3.1を選んだほうがよいでしょう。
HDDのメリット
HDDの最大のメリットは、安価で大量のデータを保存できることです。HDDは技術的に成熟し、製造コストもそれほど高くありません。また、面積あたりに記録できるデータの密度も高く、コンパクトな筐体に大容量のデータを保存できるのです。
HDDのデメリット
HDDのデメリットは、SSDと比較するとデータの読み書きに時間がかかることです。また、故障のしやすさ、寿命の短さもHDDのデメリット。CPUやメモリ、マザーボードなど他の主要なPCパーツと比べて、HDDは回転するプラッタに磁気ヘッドで書き込んでデータを保存するという構造上、振動や衝撃に弱く、経年劣化も早いのです。
そのため、長く使ったパソコンは、HDDから故障が始まるケースが多く見られます。HDDの寿命がパソコンの寿命となってしまっているのです。
SSDの特徴とメリット
SSDの特徴
SSD(Solid State Drive、ソリッド・ステート・ドライブ)は、SDカードやUSBメモリと同じように、フラッシュメモリ(半導体メモリ)に電気的にデータを保存する装置です。
SSDは2010年頃から普及し始め、当初はウルトラノートブックなどハイエンドモデルを中心に採用されました。最近では、さまざまなタイプのパソコンに内蔵されるようになってきています。
SSDの容量
SSDは、256GB~512GBクラスが主流です。128GBクラスだと、OSや基本的なアプリだけで容量がいっぱいになってしまいます。最大で4TBの製品も出てきていますが、とても高価なので簡単には手を出せません。
SSDの接続方式
パソコン内蔵タイプのSSDのインターフェイスは、従来の「Serial ATA 3」タイプと、PCI-expressベースの「M.2」タイプの2つが主流です。
Serial ATA 3は転送速度が6Gbpsで、SSDの超高速な読み書き速度を活かしきれません。実際の読み書き速度は500MBps程度になります。しかし、価格が安いので、低価格帯のSSDに多く採用されています。
M.2は、データ転送速度が10Gbps~32Gbpsと超高速なことが特徴です。SSDの読み書き速度は、3000MBpsを越えます。M.2は、Serial ATAのようにケーブルを介さず、端子を直接マザーボードに差し込みます。高速処理を行うため発熱量が多く、ノートパソコンに搭載する場合は排熱の工夫が必要と言われています。
外付けタイプのSSDは、USB3.0及び3.1での接続が基本となります。3.1 Gen2対応のポータブルSSDも登場してきているので、より速い読み書き速度を求めるのなら最新のUSB規格を選びましょう。データアクセスが超高速なSSDにとって、ケーブルの転送速度は非常に重要な要素です。
USB規格 | データ転送速度 |
---|---|
USB 2.0 | 480Mbps |
USB 3.0 | 5Gbps |
USB 3.1 Gen1 | 5Gbps |
USB 3.1 Gen2 | 10Gbps |
USB 3.2 | 20Gbps |
SSDのメリット
SSDのメリットは、データの読み書き速度が非常に高速なことです。特にOSの起動やアプリの起動は驚くほど速く、一度使ってしまったらもう二度とHDDには戻れないと思ってしまうほど。ファイルの読込みや保存もとても速く、あらゆる操作をストレスなくこなすことができるのです。特に、画像編集や動画編集において絶大なパワーを発揮します。
カリカリカリッというアクセス時の音が気になるHDDと違い、SSDは無音なこともメリットです。図書館やカフェなど静かなところで使っても気になりません。HDDのように振動や衝撃に弱いということもないので、モバイルする機会が多いノートパソコンに最適なのです。
また、ケースサイズが決まっているHDDに比べ、M.2タイプのSSDはボード1枚で実装でき、ノートパソコンの小型軽量化にも大きく寄与しているのです。
SSDのデメリット
SSDの唯一のデメリットは、容量当たりの価格がHDDと比較して高価なことです。
SSDが世に出始めた頃は、SSDは寿命が短いのではという疑惑がもたれていたのですが、現在ではHDDよりも長寿命であることが判明しています。
SSDとHDDの価格差
SSDはだいぶ価格が下がってきましたが、それでもまだまだHDDとは価格差があります。
2019年3月現在でのHDD・SSDそれぞれの販売価格を調査してみました。
いずれも、価格.comで人気ランキング上位の製品をピックアップしています。
【HDDの価格】
タイプ | 容量 | 最安値 (税込) | 1GB当たり | 接続規格 | 回転数 | キャッシュ |
---|---|---|---|---|---|---|
内蔵HDD | 4TB | 7,917円 | 約1.9円 | Serial ATA 3 | 5400rpm | 64MB |
内蔵HDD | 6TB | 12,714円 | 約2.1円 | Serial ATA 3 | 5400rpm | 64MB |
内蔵HDD | 8TB | 16,698円 | 約2円 | Serial ATA 3 | 5400rpm | 256MB |
(2019年3月11日現在、価格.com調べ)
【SSDの価格】タイプ | 容量 | 最安値 (税込) | 1GB当たり | 接続規格 | 読込速度 | 書込速度 |
---|---|---|---|---|---|---|
内蔵SSD | 256GB | 5,022円 | 約19.6円 | Serial ATA 3 | 550MBps | 500MBps |
内蔵SSD | 500GB | 8,208円 | 約16.4円 | Serial ATA 3 | 560MBps | 510MBps |
内蔵SSD | 1000GB | 19,980円 | 約20円 | M.2 | 3470MBps | 3000MBps |
(2019年3月11日現在、価格.com調べ)
この結果から、HDDの1GB当たりの単価が約2円前後、SSDは1GB当たりの単価が約20円前後ということがわかります。SSDはHDDの約10倍高価なのです。ハイブリッド方式が人気
HDDの保存容量の大きさ・安さと、SSDのデータアクセス速度の速さを両立できるのがハイブリッド方式です。これは、128~256GB程度の小容量のSSDと、1~4TBの大容量HDDの2台を1つのパソコンに同時搭載する方式。SSDにはOS(WindowsやMac OS)とアプリを格納し、画像や動画、ドキュメントファイルなどはHDDに保存します。
OSやアプリの起動がとても速く、かつ大量のデータを保存できるいいとこ取りの方式なのです。デスクトップ、ノートパソコンを問わず、最近はこのハイブリッド方式のパソコンが人気となっています。
パソコンを購入する場合の選び方
パソコンを購入する場合、現在のベストバイはハイブリッド方式といえます。高速性と大容量が高い次元でバランスが取れ、どのような用途でも快適にパソコンが使えるのです。
持ち運ぶ機会が多く、なるべく軽量で故障しにくいノートパソコンを求めている方は、SSD搭載モデルを選ぶとよいでしょう。画像や動画などのデータをあまり扱わない方なら256GBでも充分です。
パソコンとはのんびり付き合うので特に高速性は求めていないという方は、HDDモデルが最適です。
頻繁にアクセスするデータはSSDに置いておき、滅多に使わないデータはHDDにアーカイブしておくと考えれば自分にとって最適のバランスが選べるでしょう。
外付けドライブを購入する場合の選び方
パソコンのHDD・SSDの容量が限界に達したら、外付けドライブを増設して対応します。
外付けドライブにOSやアプリを保存せず、主に画像や動画データを保存しておくのならHDDタイプで充分です。
カメラマンやクリエイターなど、データを持ち運んで高速アクセスが要求される作業をする場合はSSDを選ぶとよいでしょう。
外付けドライブには安定感のある据え置きタイプと、持ち運びしやすいポータブルタイプがあります。
デスクトップに繋いで使い、あまりデータを持ち運ぶ機会もないのなら据え置きタイプを選ぶとよいでしょう。
ノートパソコンを使っている方なら、ポータブルタイプのほうが便利です。HDDは衝撃に弱いので、特に作動中は衝撃を与えないように注意しましょう。
まとめ
SSDはHDDよりかなり高速でアクセスできることが魅力で、シェアを拡大しています。今後は、SSDが主流になっていくことは間違いなさそうです。
しかし、現状ではSSDはHDDの約10倍と高価で、大容量データの保存には向いていません。SSDとHDDの両方を搭載するハイブリッド方式を選ぶのがおすすめです。