ワイヤレス充電の「Qi」とは?仕組みや選び方・おすすめ製品を紹介
ワイヤレス充電の「Qi(チー)」をご存知ですか?スマホ・タブレットを充電する場合には有線の充電器を使うのが一般的。しかし現在はワイヤレス充電の技術が確立されており、最近のAndroid端末やiPhone 8以降なら有線・無線問わずチャージできるようになりました。
そんななかで言葉として聞くようになったのがQi(チー)という言葉。ワイヤレス充電器を探してみるとよく見かける言葉であり、「どういう意味だろう?」と疑問が浮かびます。
そこで今回は、ワイヤレス充電のQi(チー)とは何かを紹介。さらにワイヤレス充電器の仕組みやメリット、選び方からおすすめまで解説します。
Qiワイヤレス充電の「Qi」とは?
Qi(チー)とは、ワイヤレス充電のためにワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)によって2010年7月ごろ策定された国際標準規格のこと。スマホ・タブレットのワイヤレス充電は基本的にQi(チー)を採用しています。
以上から、Qi(チー)と聞いたらワイヤレス充電を指すものとして考えることが可能。製品を探すときは「Qi ワイヤレス充電器」「無接点充電器」などと検索すると出てきます。
なお、ワイヤレス充電器が日の目を浴びるようになったのはiPhone 8が発売された2017年9月ごろ。iPhoneシリーズとしては初めてQiワイヤレス充電を採用したため、知名度がアップしたのも同時期です。
とはいえiPhoneが初めて実装したというわけではなく、Android端末にはその前から搭載した機種も存在。三大キャリアの1つであるドコモに関しては、Qiワイヤレス充電を「おくだけ充電」と称して登録商標も持っています。
Qiワイヤレス充電2種類の仕組み
ケーブルなしで行えるワイヤレス充電の仕組みは、
・電磁誘導
・磁界共振
・電界結合
・電波受信
で合わせて4種類の方式が存在。
なかでもよく採用されるのは電磁誘導方式で、磁界共振方式を合わせ持つタイプもあります。今回は、電磁誘導・磁界共振方式について簡単に解説。
電流が流れる電磁誘導方式
電磁誘導は、電気を供給するコイルに流した電流が受け取る側のコイルに行く方式。給電側がワイヤレス充電器で、受電側としてスマホ・タブレットが用意されることで充電されます。
ちなみに電磁誘導方式の場合、双方のコイルの位置を合わせることで充電が可能。スマホに関してはコイルの位置も機種ごとに異なるため、ワイヤレス充電器によってはコイルの位置が自動調整される仕組みもあります。
共鳴させる磁界共振方式
磁界共振は、充電のためにコイルを使用する点は電磁誘導と同じ。ただし伝送には共鳴を利用します。共鳴とは、同じ周波数の音を出した場合に別の機器も音が鳴るような仕組み。
6弦ギターでいうと440ヘルツ(音階はA)の音叉を鳴らすことで5弦の開放弦の音を共鳴させて合わせ、チューニングするといった使い方が可能です。
ワイヤレス充電の場合は、充電器側に共振回路を搭載して電流を流すことで磁場が発生。スマホ側は充電器が発生させる磁場と同じ周波数で共鳴する共振回路を搭載すれば、充電ができます。
電磁誘導方式の場合はコイルの位置を合わせる必要があるものの、電力ロスが少ないのが特徴。対して磁界共振方式は、伝送距離が長く離れていても充電できるのに対し、遠いほど充電効率が下がります。
Qiワイヤレス充電を使用するメリット
Qiワイヤレス充電を使用するメリットについて、紹介します。
抜き差しの必要がない
スマホ・タブレットを充電する場合は、充電器とケーブルで接続するのが一般的。このとき何度も抜き差しすると接続の手間が煩わしく感じるほか、挿し込み口が故障することがあります。
その点ワイヤレス充電は、おくだけで使えるため接続も簡単。差し込み口もないので充電ケーブルの破損もありません。
断線のリスクが減る
スマホ・タブレットをケーブルで充電していると、長期的なダメージによって内部・外部が断線を起こすことがあります。このとき漏電を起こして火災の発生や感電の原因にもなるので危険です。
ワイヤレス充電なら、充電ケーブルがないため感電や漏電のリスクが減少。有線よりも安心して使えます。
なお充電ケーブルは必要ありませんが、充電器本体に給電するためのケーブルは必要です。ワイヤレス充電器の位置を固定すれば後者のケーブルも動かす機会が少なくダメージは少ないものの、持ち運びを頻繁に行う場合は上述したリスクに注意してください。
Qiワイヤレス充電のデメリット
Qiワイヤレス充電を使うことでもたらすデメリットについて紹介。
充電速度が遅い
ワイヤレスを利用するうえでデメリットになるのは、充電に時間がかかること。有線で充電する場合は、急速充電に対応するものを使用することで少ない時間でもある程度チャージできます。
対してワイヤレスの場合、もともとの出力が5ワット・7.5ワット・10ワット程度しかないため充電が遅め。加えて機種ごとに対応する出力が異なったり、そもそも非対応だったりという可能性もあります。
寝ているときや時間に余裕があるときは問題ないものの、できるだけ早く充電を済ませたいという場合には不向きです。
具体的な充電時間の差は、出力容量5Wの製品で有線・無線を計測したところ前者は約3時間半、後者は約5時間かかったという記録があります。
結果の背景は、有線が直接電流を送れるのに対し、ワイヤレスは電流を変換する過程を経たりコイル位置が合わなかったりすることで電力ロスが発生するというものです。
充電しながらの使用が難しい
有線接続の場合は、充電しながらでもスマホ・タブレットを操作できるため、バッテリが残り少なくても安心して使えるのが魅力でした。
対してワイヤレスは、電磁誘導方式が多く採用されるため充電中は機器同士を接触させておく必要があります。接触させておくということはスマホ・タブレットを置いて操作することになるため、扱いにくい可能性。
自分で持つ場合は接触も難しく、充電も途切れてしまうのが難点です。YouTubeや動画配信サイトで映像を見るぶんにはあまり困りませんが、アプリで遊んだり文字を打ったりする場合にはおすすめできません。
ケースの取り外しが必要な場合もある
ワイヤレスはコイルを用いているため、間に遮蔽物があった場合は充電がうまくいかないケースも存在。スマホのケースも遮蔽物となり得るため、取り外さないと充電ができない可能性もあるのが難点です。
なお、ワイヤレス充電器の説明書きには「何ミリメートルまでのケースの厚みは充電可能」といった感じの文言も書かれます。この場合はケースの厚みしだいで取り外す必要がありません。
スマホのケースが金属製だったりICカードを搭載していたりする場合は、厚みに関わらず使えないことに注意してください。
Qiワイヤレス充電が欲しい!選び方
Qiワイヤレス充電器に興味を持った方に向け、選び方を紹介します。
充電器の形状で選ぶ
ワイヤレス充電器の形状は
・スタンド型
・パット型
・マウント型
の3種類あります。
スタンド型は端末の横置き縦置き問わず立てかけられるタイプで、充電しながらでも操作したり動画を見たりする場合に便利です。身の回りに設置しておけば、通知の確認も容易にできます。
パット型は、平面に端末を設置するタイプ。端末を寝かせるようにしておけば使えるので便利です。ただし画面は真上を向くため操作には不向き。冷却ファンが搭載された製品や、複数の端末を同時に充電できるモデルが存在します。
マウント型は、車に装着することでカーチャージャーとして使えるタイプ。置き方としては、スタンド型と変わりません。車で端末を充電したいという方におすすめです。
機種の対応状況を確認
ワイヤレス充電器は、製品によって対応機種が異なります。そもそも端末側がワイヤレス充電に対応しているかどうかを確認する必要も存在。
充電器側には対応機種についての記載もあるのが一般的なので、購入前に確認してください。対応しているかわからなければ、レビューなどを見るのも一つの手です。
コイルの数
ワイヤレス充電器は機器同士のコイル位置を合わせる必要があります。このとき充電器側のコイルは多いほうが位置ズレにも対処しやすく充電効率も向上するため、確認してみてください。
Qiワイヤレス充電器のおすすめ製品を紹介
おすすめの商品について、簡単に紹介します。
車に装着するなら「アンカー PowerWave 7.5 Car Mount」
人気のモバイルバッテリをいくつも輩出するアンカー製のQiワイヤレス充電器。マウント型で、車のエアコンの吹き出し口に固定するため外れにくいのが魅力です。
マウントに装着する充電器部分は、背面が360度回転するので端末の角度調整も簡単。縦置きと横置きの両方に対応するので、動画を見ながら使ったり設置したまま操作したりできます。
出力は5から10ワット。価格は定価でだいたい4,300円程度なので、ワイヤレス充電器としては安くありません。人気メーカーのモデルが欲しい方におすすめです。なお、アンカーはほかにもスタンド・パットタイプなどを販売しています。
モバイルバッテリ機能付き「チーロ Powermix 6000mAh」
チーロが販売するワイヤレス充電器。6.000ミリアンペアのモバイルバッテリ機能が搭載されており、充電しておけば完全にケーブルを排除して使えるのが魅力です。
miniUSBの接続もできるため、有線でタブレットなどの充電も可能。ワイヤレス充電と有線接続の両方で使用でき、スマホ・タブレットなどを2台同時にチャージすることもできます。
発熱時は自動停止したり、過充電・過放電など問題が生じても保護してくれる機能も搭載。価格は3,000円程度で購入できるのでおすすめです。
2台同時ワイヤレス充電できる「エレコム W-QA05BK」
パソコン周辺機器をたくさん手がけるエレコム製ワイヤレス充電器。2台同時にワイヤレス充電できるため、スマホを複数台持っている方におすすめです。
ケースは3ミリメートルの厚さまでなら対応。定価は10,000円近いものの、通販サイトでの実売は4,000円弱なのでお得に購入できます。
出力はそれぞれ5ワットしかないので、充電速度はやや遅めです。
Qiワイヤレス技術をスマホに取り入れよう!
ワイヤレス充電器には異物検知機能を搭載した製品もあり、端末以外を置いた場合の安全を確保してくれます。また、熱を感知する機能があれば熱暴走を防止することも可能です。
今回はワイヤレス充電のQi(チー)や仕組みから選び方まで紹介したので、気になる方はぜひ使ってみてください。