パソコンのCPU冷却ファンから異常な音が……。ファンの修理・交換方法と金額の目安をお伝えします。
使っているパソコンから異音がするようになったというトラブルは、PCトラブルの中でも少なくありません。
そうした場合、原因はおもに「CPU冷却ファン」または「ハードディスクドライブ(HDD)」にあります。パソコンのパーツのほとんどは電子部品ですが、ファンとHDDに関しては物理的な高速回転を行っているため不具合があると異音として現れるのです。
しかし、最近ではHDDではなくソリッドステートドライブ(SSD)という物理的な回転を要しないストレージが増えてきていますので、今後パソコンの異音トラブルといえば冷却ファンがおもな原因となっていくでしょう。
この記事では、「CPU冷却ファン」の不具合の代表的な症状とその原因、修理方法をお伝えします。
冷却ファンのPC内での役割は大きく、故障してしまうとファンだけでなく他のパーツにも悪影響を及ぼします。さらにはパソコン自体の寿命を早めてしまうことにもつながってしまいます。現在、パソコンからの異音が気になっている方は早めに修理やパーツ交換をしたほうが良いでしょう。
パソコンのファンの調子が悪いけれど修理は必要?
パソコンから異音がするという症状は、CPU冷却ファンの不具合によるものかもしれません。ファンの不具合が起きると、異音だけでなく次のように様々なPCトラブルを引き起こします。
・PCの温度が高く、触ると熱い
・動画を見るなどの高い負荷がパソコンにかかるときに、急に電源が落ちる
・電源ボタンを押しても「fan error」と表示されて起動できない
こうした症状が見られるときには、冷却ファンにエラーが出ている可能性があります。我慢できる範囲の異音だと思って不具合をそのまま放置していると、パソコンに最悪の事態を招いてしまう恐れがありますので十分注意が必要です。
ファンの故障は、HDDやCPU、マザーボードといった他のパーツの故障を引き起こす原因にもなります。その結果、データが消えてしまったり、パソコン自体が起動しなくなったりといった事態にもなりかねません。
まだまだ今のパソコンを使いたいとお考えであれば、他のパーツに影響を及ぼす前に一刻も早く冷却ファンの修理・交換をすべきです。
冷却ファンの役割とは?
そもそもCPU冷却ファンとはどのようなものでしょうか?冷却ファンとは、その名の付くとおりパソコンの内部を冷やす「扇風機」としての役割を持っています。パソコンは常に電力で動いていますので、内部のパーツはとにかく熱を持ちやすい特徴があります。もっとも高温になるCPUは40℃から80℃、HDDも40℃ほどの熱を帯びます。それらだけでなく、同時にPC内の周辺のパーツも高温になっていきます。
また、パソコンで動画編集などの重い作業を行う際は消費電力も大きくなりますので、その分温度も上がりやすくなってしまいます。
しかし、電子パーツにとって熱は大敵でもあります。温度が上がりすぎると熱暴走を引き起こし、結果的に故障にもつながります。
パソコンがサクサク動くためにはより高速で処理を行うことが必要になりますが、高速になればなるほど消費電力が増え、温度も上がりやすく故障のリスクは大きくなる。そのリスクを軽減するためにはPC内の温度を下げる必要がありますよね。その重要な役割を担うのが冷却ファンなのです。
パソコンのファンが不具合を起こす原因
パソコンが正常に機能するために欠かせない役割を持つ冷却ファン。しかし、「ほこりの詰まり」や「摩耗による軸の変形」、「ベアリングの劣化」や「羽根の破損」などにより、機能不全や異音を発生してしまいます。
ほこりによる詰まり
ひと夏使った扇風機の羽根にほこりがたくさん付いているのを見たことがある方も多いと思います。冷却ファンも扇風機と同じで、風を送るために慢性的にほこりを集めてしまう性質を持っています。
扇風機と違ってパソコン内部にあって外からは見えないため、気付くと数年分のほこりが溜まってしまっていたということも珍しくありません。
一年以上メンテナンスを行っていない冷却ファンには大量のほこりがこびり付いていることが多く、そのほこりが物理的にファンの回転を妨害したり、軸の変形につながったりします。
軸の摩耗による変形
ファンの回転軸が変形してしまったことで、機能不全になることもあります。回転軸が変形する要因は、長年の使用による経年劣化やほこりの詰まりといったものがあります。
軸が摩耗して変形することで軸と軸受けに余計な隙間が出来てしまい、そこで異音が発生してしまうのです。
グリスが固まるなどのベアリングの劣化
ベアリング(軸受け)には軸を円滑に回転させるためのグリスが塗ってあります。潤滑油の役割を果たすグリスも、メンテナンスを怠ると経年劣化により固まってしまい、逆に不具合の原因になってしまいます。固まったグリスは軸の摩耗やベアリングの劣化を促して不具合の原因となってしまいます。
羽根の破損
通常使用していて冷却ファンの羽根が破損することは滅多にありません。しかし、メンテンナンス時に力を加えすぎて折れてしまったり、パソコンを落とすなどの大きな衝撃が加わった時に破損してしまう可能性があります。
故障したファンのままだとどうなる?
このような原因で不具合を起こしてしまう冷却ファンですが、不具合の症状が出たまま使い続けることはパソコンにとって非常に大きなリスクになります。異音に気付きつつも「まだ大丈夫」と思って使い続けると、のちのち後悔することになるでしょう。
故障したファンを使い続けることで起こりうるリスクには以下のようなものがあります。
騒音の悪化
軸のずれやほこりの詰まりなどによって発生する異音は、そのまま放置しておけば改善されるものではありません。今後さらに状況は悪化し、耐えられないほどの騒音になるかもしれません。
パーツの摩擦で生じる音は非常に不快なものです。その音が大きければ仕事どころではありませんし、プライベートでyoutubeなどの動画を見る際にも邪魔な音が鳴り続けることになります。
起動しなくなる
ファンが回らないということは、CPUなどの熱を帯びるパーツを冷やす機能がなくなり、パソコンに異常をきたす可能性が高くなるということです。そうしたリスクを回避するために、ファンが回っていない(回転数が規定に達していない)ときには、電源を入れてもシステムを起動させないという機能を持つパソコンもあります。
IBMやLenovoなどから販売されているパソコンには、そうした機能が付いているものが見られます。お使いのパソコンによっては、冷却ファンの不調が原因でパソコンの電源を入れても立ち上がらないということにもなってしまうのです。
熱でパーツが故障
パソコンを構成する電子部品は、なんといっても熱が苦手です。高温になると異常をきたすのはCPUやHDDだけではなく、マザーボードやメモリなどすべてのパーツで同じことが言えます。
HDDの場合は起動すると40℃ほどの熱を持ちますが、50℃を超えると内蔵のデータが壊れる危険性が高まります。また、それ以上の温度になるとHDD自体が故障して使えなくなるということにもつながります。
このように冷却ファンの故障が引き起こすPC内の温度上昇は、ほかのパーツの故障にも直結するのです。
大切なデータが消える(熱による故障or急なシャットダウンが原因)
HDDが高温になるとデータが破損する可能性があるとお伝えしましたが、それ以外にも大切なデータや作業中のデータが失われる危険性があります。
それがオーバーヒートによる急なシャットダウンです。非常に負荷のかかる作業や過度の温度上昇が起きた場合、パソコンの電源が急に落ちることがあります。
ファンが回っていないことを検知してシステムを起動させないパソコンがあると先述しましたが、起動中に高温になりすぎた場合にも、安全保護でPCの稼働を止めるような機能が組み込まれています。PC内の温度が下がれば再度起動することができますが、そのまま使い続けることは非常に危険でしょう。
急に電源が落ちることは正常なシャットダウンではないため、保存していない作業中のデータやその他のストレージ内のデータが消えてしまうことがあります。
大切なデータを失わないためにも、こうしたリスクのある冷却ファンの使用は控えるべきです。
現在お使いのパソコンで不具合が確認できる場合には、このようなトラブルは目前に迫っているかもしれません。冷却ファンの故障は、ほかのパーツの故障も引き起こします。それはつまりパソコンの寿命を縮めることにもつながるのです。
冷却ファンは、異常が確認できたあと早期に修理や交換が出来ればそこまで高価な金額はかかりません。
しかし、それを放置して悪化させてしまったり、冷却ファンの不具合が原因でほかのパーツの故障まで引き起こしてしまった場合には修理がより高額になってしまう恐れがありますし、場合によっては新しく買いなおす必要も出てきます。
そうならないためにも、至急修理・交換を行ったほうがよいでしょう。
パソコンの冷却ファン異常が見られたらすぐに交換すべき|修理方法と金額の目安
冷却ファンは状態によって修理方法が「清掃」「分解注油」「交換」に分かれます。修理金額の目安は10000円弱から25000円ほどになります。
ほこりの詰まりを除去する程度であれば高額にはなりませんが、CPUファン回転制御装置が故障しているといった場合にはマザーボードの交換が必要になる場合もあります。そのため、状況によって10000円~25000円と金額に差が出てしまいます。
デスクトップパソコンの場合は、PC本体のカバーを外せば冷却ファンが確認できます。ほこりを取り除いたり、パーツを購入して自分で換装することもできます。
しかし、ノートパソコンの場合には全体的な分解が必要になり難易度があがります。ですので、パソコン内部や電子機器に詳しくない方には自分で修理するのはおすすめしません。
また、デスクトップパソコンの冷却ファンについても精密機械であることに変わりはなく、慎重な作業が必要になります。自分で交換してみたけれど正常に動作しなかったという例も見られます。
気付かぬうちに接触部分の端子を破損させてしまっていたなんてことになると、冷却ファンではなくマザーボードの修復・交換が必要です。そうして修理がより高額になってしまったということも過去に起きています。
このようなさらなる悪化を招きかねませんので、自信がなければ修理業者に依頼した方が賢明かと思います。
弊社でも冷却ファンの交換・メンテナンスに対応しております。異音がするなどの不具合があるもののどうしたらよいかわからないという方は、お気軽に一度ご相談ください。