ASUSのタブレットってどうなの? 3台乗り換えてきた私が評価!
ASUS(エイスース)といえば古くはパソコンパーツの老舗、一昔前は格安ノートパソコン、現在では格安スマートフォンで有名な台湾メーカーです。
もちろんタブレットも製作しており、現在ではZenPad(ゼンパッド)シリーズが有名ですね。そんなASUSのタブレットを3台にわたり乗り換えてきた私が、ASUSのタブレットに関してざっくりと解説いたしましょう。
なお、メリットやデメリットは公正であるよう客観的な事実にもとづいて書いていますが、使用感などは若干私の主観や個人的見解も含まれていることをご了承ください。
ASUS製タブレットのメリット
アクセサリーが豊富
さすがにiPadのバリエーションの多さにはかないませんが、ASUSのタブレットも家電量販店の定番製品となっているので、ネットや実店舗を問わず本体はもちろんカバーその他アクセサリーの品揃えが豊富な部類です。
シンプルかつ不要なアプリのほとんどが削除できる
独特のカスタマイズをせず、素の状態が定番でシンプルであることも大きいです。また日本メーカーにありがちな無用なアプリは少なく、初期アプリも必要がなければ大抵のものは削除できます。
Android(アンドロイド)タブレットはカスタマイズしてこそ真価を発揮するので、カスタム前提であれば初期状態はシンプルで、無用なアプリはアンインストールできることもメリットとなります。
ASUS公式からオフライン専用アップデータや便利なツールが提供されている
タブレット本体からオンラインアップデートができない機種も、ASUSがこっそり(自己責任で適用できる人向けの)更新用のアップデートファイルを用意していてくれるときもあります。より深く使うためのデバイスドライバーなども提供されています。
定番メーカーなので情報が豊富
海外ユーザーも多く、よりディープな使い方をしたい場合やトラブルを解消するための情報などが入手しやすいので、国内外を問わずそういった情報や手段が集めやすいこともメリットです。
ASUS製タブレットのデメリット
OSのバージョンが古め
現行機種の初期搭載Androidバージョンが5.0~6.0と古めで、最新の「ZenPad 10 (Z301MFL)」でもAndroid 7.0とこちらもバージョンが古いのが少し気になるところです。
出典:ASUS公式ホームページ ZenPad 10 (Z301MFL)
現在は「Android 9.0」が最新バージョンですが、最新OSだとアプリが対応しておらず動かないということも多々あるので、現実的にはそれほどの欠点ではありません。新しいOSの最新機能が使えない代わりに大抵のアプリが安定して動くと考えればメリットとも取れるでしょう。
※初期搭載Androidが6.0のZenPad 8.0(P00A)はバージョン7.0にアップデートできます。
ユーザーサポートの評判が悪い
ASUSというメーカーが日本でも有名になってしまったがゆえ、日本メーカーと同じような感覚で製品を買い、同じようなサポートを求めた場合「電話やメールでの修理依頼や不良品交換の対応が悪い」と思う人がでるのは仕方がないと私も思います。
ですが海外メーカーの製品は日本メーカーの製品より安い代わりに、サポートがややおざなりなのはASUSに限った話ではありません。手厚いサポートを受けたいのなら国内メーカーやその料金が含まれたiPadなどのお値段高めのメーカー製タブレットを買うべきでしょう。
私個人はASUSが特別サポートが悪いとは思っていません。必要な情報や製品に適用できる更新用ファイルはもちろん、機能を拡張するドライバーなども公開してくれてユーザー側に利便性が高いよう配慮してくれています。自社のミスではないCPUの脆弱性の欠陥についても、対策を行うと明言してくれています。
一般的な”電話やメールでの修理依頼や不良品交換のサポート”というのとは違う形では、しっかりとサポートがなされているので、どちらのサポートを重要視するかで、ASUSのサポートが悪いかどうかの判断がわかれるところでしょう。
参照:ASUS公式ホームページ [ZenPad] ASUS ZenPad の「Spectre」および「Meltdown」のセキュリティ脆弱性への対策
私のASUSのタブレット歴
2012年にGoogle(グーグル)が「Nexus 7(ネクサス セブン)」を発売。これが容量32ギガバイトモデルで27,280円(税込)と価格も手ごろだったことで爆発的に売れました。生産が追いつかず1年たっても値段が下がらない人気商品でした。
その後Nexus 7を開発したASUSから「MeMO Pad HD7(ミーモパッド エイチディーセブン)」というタブレットが2013年に発売されました。
値段は21,780円(税込)で性能はNexus 7とほぼ同等、Nexus 7では使用できないマイクロSDカードも使えるという事で、私を含めNexus 7の代わりにMeMO Pad HD7を購入するという人も多かったのです。
私はその後ゲームプレイ目的でASUSの上位モデルタブレット「ZenPad S 8.0(ゼンパッド エス はってんゼロ)」を追加購入しました。
その後プレイしていたゲームのサービス終了とZenPad S 8.0が壊れたのを機会に、下位モデルの「ZenPad 8.0(ゼンパッド はってんゼロ)」に乗り換えました。ゲーム以外では性能を持て余していたので下位モデルタブレットでも自分の用途なら充分だと思ったからです。
一度iPadや他メーカーのタブレットも検討はしたのですが、必要な性能を満たすものが少なく、求める方向性ではなかったので購入にはいたりませんでした。
ASUS製各タブレットの使用感
ASUSのタブレットは各種ありますが、参考までにその中で実際に私が購入して使用してきたタブレットとそれぞれの具体的な使用感を紹介いたします。
MeMO Pad HD7の仕様
OS:Android 4.2.1
CPU:MediaTek(メディアテック) MTK8125 クアッドコア, 1.2ギガヘルツ
メモリ:1ギガバイト
容量:16ギガバイト
対応無線規格:IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth V4.0
カメラ:120 万画素(前面)、500 万画素(背面)
MeMO Pad HD7の使用感
私が最初に購入したMeMO Pad HD7はメモリ1ギガバイト、ストレージ容量16ギガバイトを備え、安価な下位モデルとしてはコストパフォーマンスの良いものでした。動作速度もNexus 7とほぼ同等で、値段を考えれば充分なものでした。
ストレージ容量は16ギガバイトでしたがNexus 7と違ってマイクロSDカードが使えたので、一部アプリや大半のデータはそちらに保存ができ、容量不足になることはありませんでした。
見た目が安っぽいおもちゃのような外見であることを気にしなければ、実用に耐える性能を持った良タブレットでした。
ZenPad S 8.0の仕様
OS:Android 5.0
CPU:インテル Atom(アトム) Z3560
メモリ:4ギガバイト
容量:32ギガバイト
対応無線規格:IEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetooth 4.1
カメラ:200 万画素(前面)、500 万画素(背面)
ZenPad S 8.0の使用感
その後購入したZenPad S 8.0は上位モデルのタブレットだけあってメモリ4ギガバイト、ストレージ容量32ギガバイトを備え、OSやアプリ共に快適に動作しストレスとは無縁でした。バッテリー持ちも良く、無線LAN(ラン)は5ギガヘルツに対応し、最高433メガの高速通信がパソコンとのファイル共有に大変役立ちました。
ただZenPad S 8.0を含む、現行のASUSのタブレットはインテル系CPUを採用している機種割合が他社より多く、アプリによってはごく一部動かないものがあります。
特にゲーム関係は他Androidタブレットに使われているARM系CPU(*1)に最適化されていることが多く、インテルのCPUだと性能の割には遅かったり起動はもちろんダウンロードすらできないものもあります。
アプリ開発側にやる気があれば、最初は動作しなくてもあとから対応して動作するようになることもあります。私が遊んだ「メタルサーガ ~荒野の方舟~」も当初はZenPad S 8.0で動作せず、リリースから3ヶ月後ぐらいのアップデートにて動作するようになりました。
そういったインテル系CPUで動かないアプリがあることを知っていたので少し心配でしたが、実際には大抵のアプリが問題なく動作しました。現在は上記機種が販売終了しているため「ZenPad 3 8.0 (Z581KL)」が後継機種にあたり、こちらは互換性問題の出ないARM系CPUを採用しています。
*1…ARM(アーム)系CPUはスマートフォンやタブレットなどに多く採用されているもので、パソコンで主流のインテル系とは異なる仕組みで動くCPUです。本来は異なる仕組みのCPUだとアプリは動かないのですが、Android OSのアプリはCPUの系統が違っても基本的には動くように設計されています。
ZenPad 8.0の仕様
OS:Android 6.0
CPU:MediaTek MT8163
メモリ:2ギガバイト
容量:16ギガバイト
対応無線規格:IEEE802.11a/g/b/n、Bluetooth 4.0
カメラ:200 万画素(前面)、500 万画素(背面)
ZenPad 8.0の使用感
現在使用中のZenPad 8.0は値段はMeMO Pad HD7と同程度の下位モデルタブレットで、メモリは2ギガバイトとMeMO Pad HD7の倍ありますが、容量は16ギガバイトとすえおきです。無線通信速度は先代機の433メガから135メガと約3分の1に落ちてしまったので、タブレットへのファイル転送を無線でおこなっている私の環境ではやや不便です。
マイクロSDカードも使えるのですが前2つの機種とは違い本体横のスロットではなく、カバーを開けて中に取り付けるタイプなので交換時には手間がかかります。
さらに現在のAndroidはSDカードへのアクセスを制限しているため、以前はおこなえたアプリの移動などができないので容量不足にもなりがちです。
4~5年前に比べるとアプリの容量も肥大化しており、保存するデータ量も大きくなっているので、ZenPad 8.0のストレージ容量16GBでは、足りないという人も出てくるでしょう。
またMeMO Pad HD7をメインに使っていた頃に比べると、ZenPad 8.0はアプリを動かす場合などにもたつきがあります。原因は主にアプリ側の作りの悪さにあるので、まともに作られているアプリなら下位モデルのZenPad 8.0でもストレスなく動きます。
例えば高い技術を持った個人プログラマー製作のブラウザやメディアプレイヤー、Google製アプリなどはしっかりと作られているので、ZenPad 8.0でも快適に動作します。
アプリのもたつきは動作の軽いアプリに変更したり、内部ストレージの容量不足は”SDカードの内部ストレージ化(*2)”などの方法で、ある程度の不満は軽減することが可能です。代えがきかず作りの甘い企業の公式アプリなどがもたつく場合は……どうにもなりませんのであきらめるしかありません。
アプリのもたつきにストレスがたまるようでしたら、ラインナップすべての性能が高めなiPadシリーズや、40,000~50,000円程度出費し上位モデルのAndroidタブレットに買い換えましょう。
*2…SDカードの指定容量分を内部ストレージと見なして使用できる機能を指します。Androidのバージョン6.0から利用できるようになっており、内部ストレージ容量の少ないスマートフォンやタブレットでアプリのインストール容量を確保したい場合などに使用します。
ASUSタブレットの上位モデルならおすすめできるのか?
「ZenPad 3 8.0 (Z581KL)」や「ZenPad 3S 10 (Z500M)」などの上位モデルなら下位モデルタブレットであるような不満はでないでしょうが、相場価格の40,000~50,000円出せるのであれば型落ちのiPadが買えてしまいます。
アプリに関する挙動の軽さ、OSのアップグレード対応期間の長さ、ゲームなどの重いアプリもAndroidより軽快に動くことを考えれば、初心者ほどiPadを買ったほうが幸せになれます。
それらを踏まえてなお、Androidタブレットのカスタム性や自由度の高さが必要で、アクセサリーの入手性や大手メーカーの信頼性も欲しい人ならば、ASUSのタブレットをおすすめできるでしょう。
結局ASUSのタブレットはどうなのか?
本記事ではややネガティブ要素が多めの紹介になっていますが、私はASUSという会社が好きですし、今後もタブレットを買い換えたり、ノートパソコンを買ったりするのであれば間違いなくASUSを優先候補の中に入れるでしょう。
MeMO Pad HD7のマイクロSDカードスロット作りの甘さなど、初期モデルや安いモデルは何らかの欠点があることもあります。ただ多くの愛用者がいるおかげで「どうやったらそれらを解消できるか?」などの情報がネットで探しやすい点で欠点を相殺できるとも思っています。
ASUSという会社自体もユーザーサポート以外は悪い評判のないメーカーなので、以下の条件に当てはまる人ならASUSのタブレットをおすすめできます。
・サポートに頼らず、目の前にあるタブレットやパソコンを使ってネットで調べて解決しようという気持ちがある人
・ASUSがパソコンのパワーアップや自作用パーツのメーカーであると知っていて、「ある程度いじって遊べるタブレットが欲しい」という人
ちなみに自分でなんとかする気がなくても、壊れたらさっさと新しい機種を買うかサポートや修理にお金をおしまない金銭的余裕がある人でしたらASUSのタブレットでも問題ありません。ASUSが大手かつ製品流通量が多いので、修理部品も代品もお金で都合が付けやすいからです。
この辺はスマートフォンのiPhone(アイフォーン)と同じ理屈で「使っている人が多いからトラブルの対処法などが探しやすく、故障時も修理部品やその業者も探しやすい」ということが、ASUS製タブレットを選ぶ理由のひとつにもなるでしょう。
最後に……タブレットを快適に使いたいのであればなるべく上位モデルを選びましょう。家のなかだけで使うなら10インチでもかまいませんが、ショルダーポーチなどに入れたりカーナビとして使うなら持ち運びしやすい7~8インチがおすすめです。
※参考:10インチiPadと8インチZenPad 8.0のサイズ比較
8インチタブレットですら、このように斜めに大きく開くショルダーポーチでないと出し入れしにくいのです。