ノートパソコンのファン音がうるさい!と感じたら試してみたい対処法8つ

ノートパソコンのファン音がうるさい!と感じたら試してみたい対処法8つ

ノートパソコンを使っている時、「ウィーン」と唸る高音が気になったことはありませんか?あの唸り音は、冷却ファンが回転している音です。特に静かな映画やドラマを見ているときにファン音がうるさく感じ、作品に集中できないといった声をよく耳にします。

今回の記事では、冷却ファンの仕組みと、ノートパソコンの冷却ファンがうるさいと感じた時の対処法をハードウェア編・ソフトウェア編それぞれご紹介します。

パソコンのファンの役割と構造

最初に、パソコンにおける冷却ファンの役割と構造を確認してみましょう。

ファンはCPUやGPUを冷却するための装置

パソコンのファンは、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)及びGPU(Graphics Processing Unit、画像処理用演算装置)などを冷却するための装置です。

CPUとGPUは、人間の部位に例えると脳の役割を果たしています。人間もたくさん脳を使うと知恵熱が出たり頭から白煙が上がったり(もちろん比喩ですが)するのと同様に、CPUとGPUもたくさん計算や描画といった演算処理を行うとどんどん発熱するのです。

CPUやGPUを発熱したまま放置するとクロック(動作周波数)が落ちる(処理能力が遅くなる)だけでなく、やがて熱によって壊れてしまうこともあります。

そこで、熱を持ったCPU/GPUを冷却するために、ファンが扇風機のように風を送り込んでいるのです。あの唸り音の正体は、ファンが頑張ってCPU/GPUを冷却しようとしている回転音なのです。

ファンはCPU/GPUクーラーの一部

ファンは、CPU/GPUを冷却するための装置「CPU/GPUクーラー」の一部です。CPU/GPUと直接的に面で接合し、CPU/GPUの熱を吸収するのが「ヒートシンク」で、伝熱特性の高い銅やアルミの素材を用い、冷却表面積を増やすためのフィン(凹凸の板)がたくさん生えています。

ヒートシンクの放熱を補助するのがファンの役割で、筐体(ボディ)の吸気孔から取り入れた外気をヒートシンクに送り込み、熱くなった空気を排気孔から排出しているのです。その他、CPU/GPUとヒートシンクを密着させて熱伝導率を上げるために「CPUグリス」が塗られています。

このように、CPU/GPU>グリス>ヒートシンク>ファンの順番で最終的に熱が空気に伝わり、排出されていくのです。

CPUやGPUの発熱量(TDP)は製品によって異なる

演算処理を行うことにより熱を発するCPU/GPUですが、製品によって発熱量は大きく異なります。CPUやGPUの発熱量はTDP(Thermal Disign Power、熱設計電力)で表し、単位はW(ワット)です。

TDPはCPU/GPUに必要な冷却装置の性能の基準なので、TDPが大きいほど発熱量が大きいCPU/GPUであるといえます。また、TDPはCPU/GPUの消費電力量の目安にもなります。

デスクトップパソコンで使われるCPUのTDPは、50W~150W程度です。それに対して、ノートパソコン向けの代表的なCPUであるIntel Core i-Uシリーズ(超低電圧版)のTDPは15W、Intel Core i-Yシリーズ(極低電圧版)のTDPは4.5Wとかなり低く抑えて設計されています。

筐体のサイズが小さくて排熱処理が難しく、膝の上などユーザーのすぐ近くで使われることが多いノートパソコンには、TDPの大きいCPUを搭載することは難しいのです。

GPUは発熱量が大きい

GPUはディスプレイに画像を出力するための演算装置です。「Microsoft Excel 」といったオフィス系ソフトやWebブラウザでブログをスクロールしている程度ならあまり活躍しませんが、「Netflix」などで動画ストリーミングを見たり、3Dゲームを動かしたりするとGPUはフル回転します。

ゲーム用デスクトップパソコンの場合、GPU専用の基板「グラフィックボード」が搭載され、GPU専用の冷却ファンが稼働します。

しかし、一般的なノートパソコンの場合GPUはCPUに内蔵されていて、GPUもCPU用の冷却ファンを利用しています。そのため、動画を見ている時にはファンがフル回転してとりわけうるさく感じるのです。

空冷式と水冷式

CPU/GPUクーラーはファンで冷やす空冷式が一般的ですが、水を循環させることによって冷やす水冷式も存在します。

水冷式は空冷式と比べて冷却効率が高く、動作音が静かというアドバンテージがあります。しかし構造が複雑で高価となり、水漏れのリスクを抱えることもあってあまり普及していません。

CPU温度を調べるには?

CPUが熱くなるから冷やすためにファンが回っているということがわかったら、実際にCPUは何度くらいになっているのか気になるという方もいらっしゃると思います。

CPU温度はBIOSがモニターしているので、フリーソフトなどを使えば視覚的に確認することができます。

ファンがうるさい時のハードウェア的対処法

こちらでは、ファンの回転を抑えるための物理的な対処方法をご紹介します。

涼しい部屋で作業する

30度以上あるような暑い部屋で作業するより、涼しい部屋の方が人間だけでなくパソコンにとっても快適なのです。

沢山のコンピューターがずらりと並べられているサーバールームは、まるで冷蔵庫のようにキンキンに冷やされています。

ファンの音がうるさいと感じたら、まずは部屋自体の温度を下げてみてください。

通気孔の風通しをよくする

ノートパソコンのボディには、必ず底面と側面に吸気孔と排気孔が開いています。メッシュ状の素材でカバーされ、ファンが回転しているときに熱風を感じるところが排気孔でそうでないところが吸気孔です。

ここがホコリなどでふさがってきてしまうと冷却効率が落ち、ファンもフル回転することになってしまいます。もし汚れていたら、ホコリやゴミを掃除機で吸引したり、布で拭き取ったりしてください。

また、机などの硬くて平たい素材でなく、ソファやブランケットなどの上でノートパソコンを使うと風通しが悪くなり冷却効率が落ちるので注意が必要です。

冷却スタンドを使う

ノートパソコンはボディ底面から吸気する構造なため、机の上に直置きするより下部に少し隙間があったほうが冷却効率が上がります。

アルミや木製のノートパソコン用スタンドが発売されているので、購入を検討してみてください。スタンドはタイピングもしやすくなるのでおすすめです。100円ショップなどで売っている小型のスノコも、手軽なノートパソコン用スタンドとして使えます。

さらに冷却効率を高めたい場合は、冷却ファンが付いているスタンドが選択肢に入ってきます。パソコンのファン音が静かになってもスタンドのファン音がうるさく感じるのではという疑問もありますが、スタンドのファンは静音設計なので大丈夫です。

ファンを清掃する

ファンの羽や排気口にホコリが堆積してくると冷却効率が落ちてしまうので、ファン自体を清掃することも有効です。この場合、ノートパソコンのカバーを開けてエアダスターなどでほこりを飛ばすことになります。

ただし、ノートパソコンの内部構造は狭小でとても複雑なので、初心者の方はパソコン修理業者に任せることをおすすめします。

CPUグリスを塗り直す

CPU/GPUとヒートシンクの接合面にはCPUグリスが塗られています。CPUグリスは接合面の密着度を上げ、冷却効率を高めます。長い間使っているとCPUグリスが経年劣化し、冷却効率が落ちてしまいます。そのため数年に1度グリスを塗り直すと冷却効率が上がり、ファン音が静かになる場合があります。

しかし、デスクトップパソコンと違いノートパソコンのCPU周りは狭いエリアに複雑な構造が詰め込まれているので、上級者でない限り自分で作業することはおすすめしません。

ファンがうるさい時のソフトウェア的対処法

こちらでは、ファンの回転を抑えるためのソフトウェア的な対処方法をご紹介します。

BIOSをアップデートする

BIOS(Basic Input/Output System)は、OSの起動をしたり、PCと周辺機器の接続を制御したりするプログラムです。CPUの温度管理・冷却制御もBIOSが行っています。

BIOSはパソコンメーカーが随時アップデートを配布しています。自動的にアップデートされていない場合は、手動でアップデートすることによりCPUの冷却制御が改善され、ファン音が静かになる場合があります。

常駐アプリを減らす

同時に立ち上がっているアプリ(ソフトウェア)が多いと、バックグラウンドで行われているプロセスにCPUが使われ、発熱に繋がります。

インストール時に自動的にスタートアップに登録され、使っていないのに常時立ち上がってしまっているアプリがあれば、スタートアップから外しましょう。

Windows 10の場合、スタートアップはコントロールパネルのホーム>アプリ>スタートアップアップから確認・変更できます。

CPUを無駄に消費するアプリが減ればファン音が静かになるだけでなく、全体的に動作が軽くなり快適です。

OSを再インストールする

長年パソコンを使っていると、以前にインストールしたアプリがもう使わなくなっていたり、不要なアプリがいつのまにかインストールされていたりします。

一つ一つ不要なアプリを削除していくのはけっこう大変な作業で、必要なアプリやデータを削除してしまう危険性もあります。

そこで、思い切ってOSの再インストールを行うことも有効です。OSの再インストールにより、重たく熱くなっていたパソコンの操作が改善される可能性は大いにあります。

OSを再インストールする際は、事前にデータのバックアップをお忘れなく。

まとめ

ノートパソコンを使っていると気になる冷却ファンの動作音。ファンはCPUの発熱を冷やす大切な役割を果たしています。

もし購入時と比べて音がうるさく感じるようになってきたら、ハードウェアの清掃やソフトウェアのクリーンナップを試してみてください。

初心者の方なら、パソコンメーカーの相談窓口や専門のパソコン修理業者に相談してみるのもおすすめです。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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