違いがわからない「パソコンのメモリ問題」を解決します|メインメモリ、ストレージメモリ、キャッシュメモリって何?

違いがわからない「パソコンのメモリ問題」を解決します|メインメモリ、ストレージメモリ、キャッシュメモリって何?

「メモリは何?」と聞かれて「128GBです。」と答えたところ、「ストレージメモリじゃなくてメインメモリは? あとキャッシュメモリもわかる?」と言われてちんぷんかんぷんになったことはありませんか?

パソコンはいくつものパーツから出来ていますが、実はその中に「メモリ」という呼び方をするものが複数あります。

多くの人が知っているメモリは「保存領域」としてのメモリではないでしょうか。スマートフォンにおいてもメモリは、基本的に写真や音楽などのファイルをどれだけ保存できるかという意味合いで使われます。そのためパソコンのメモリというのも、保存領域のことだと思っている方が多いようです。

しかし、パソコンにおけるメモリは保存領域を指すものだけではありません。

・データの保存領域を表すメモリのことを「ストレージメモリ」
・制御演算をするために一時的にデータを保存するメモリのことを「メインメモリ」
・処理速度を上げるために一時的にデータを保存しておくメモリのことを「キャッシュメモリ」

と言います。

名称はすべて異なりますが、実際にはどれも「メモリ」という言葉が使われます。それぞれの違いを理解することで、冒頭の会話のようなシチュエーションになった時に「どのメモリのことか」がわかるようになります。

この記事では例を挙げながらそれぞれのメモリの違いを説明します。一度違いを理解すれば、IT知識が付くだけでなくパソコンの性能を上げる方法もわかるようになります。ぜひここで理解していってください。

メインメモリとは机でいうと「作業スペース」です。

メインメモリは、パソコンのスペックの中で「RAM」として表記されるものです。パソコンはよく机として例えられるのですが、メインメモリは机で言うところの作業スペースの部分だと言えます。

作業をするときは机の上に資料を並べたりツールを持ってきたりしますよね。メインメモリはそれらを置ける広さのことだと思ってください。

作業スペースが広いと一度に多くの資料を広げて効率よく作業を行うことができますが、狭いとそうはいきません。それと同じようにパソコンのメインメモリもそのサイズが大きいと一度に複数のアプリケーションを開くことができ、さまざまな作業を効率よくこなすことが出来ます。逆にメインメモリが小さいと、動きが重かったり固まってしまったりする原因になります。

ところで、基本的にコンピューターというものは「データを処理するもの」です。

電源スイッチを押すことで、コンピューター内では保存されているデータをメインメモリに呼び出して、そこで制御や演算といった処理をします。それによって私たちが見ているデスクトップにプログラムが表示されます。ファイルやアプリケーションを開くときにも同じようにデータをメインメモリに呼び出して処理を行っているのです。

パソコン内に保存されているデータを表示させたり加工するためにはデータを呼び出して一時的に置いておく場所が必要であり、それがメインメモリというわけです。基本的な動作は全てメインメモリ上で行われていると言えるほど、重要な役割があることを理解していただけるのではないでしょうか。

パソコンのメインメモリの大きさは、4GB、8GB、16GBといったものが現在の主流で、数年前からハイスペックパソコンには32GBのメインメモリが搭載されるようになりました。

基本的に作業スペースは、保存領域を表すストレージメモリと比べると遥かに容量は少ないです。

パソコンのストレージメモリは128GBや256GB、大きいものだと1TBや2TBといったものになりますので、それぞれの数字が並んだときにはどちらの数字がどちらのメモリかというのは判別が容易いかと思います。

しかし、スマートフォンを使い慣れた方だとそこの判別が出来ていない方も見えます。スマホの基本スペックにはメインメモリは表記されず、ストレージメモリの表記のみであることがほとんどです。スマホのストレージメモリには16GBや32GBといったものもまだまだ存在します。そうなると、「パソコンのメインメモリ」と「スマホのストレージメモリ」が同じ数字になり、混同する方が出てきます。

32GBのメインメモリを搭載したパソコンが発売されたときにtwitter上で、「新しいパソコンのメモリが32GB? ぼくのiPhoneは128GBだよ?」といった投稿がされて話題になりました。これは「メインメモリ」と「ストレージメモリ」の勘違いから生じているのです。

パソコンのメインメモリは「作業スペースの大きさ」を表すものであり、後述する保存領域のストレージメモリとは異なりますので覚えておきましょう。

ストレージメモリとは机で言うと「引き出し」です。

次にストレージメモリを説明します。ストレージメモリとは机で言うところの「引き出し」に当たるもので、保存領域と呼ぶこともあります。
パソコンはデータが全てだと先述しましたが、パソコン内のすべてのデータを保存しているのがストレージメモリです。残りのメインメモリとキャッシュメモリはあくまでストレージメモリのデータが元になっていますので、データの保存場所という意味ではストレージメモリがもっともしっくりくる表現かと思います。

スマートフォンで画像や音楽を保存したりゲーム機でゲームデータをセーブしたりと、データの保存についてはみなさん当たり前のようにされたことがあると思います。パソコンではこうした画像や音楽のファイルデータはもちろんのこと、パソコンの基本的な設定を含むOSデータやアプリケーションソフトのシステムデータなどの全てがストレージメモリの中に入っています。

ストレージメモリに関する言葉で、HDD(ハードディスク)やSSD(ソリッドステートドライブ)というものがあります。これらはそれぞれ異なる種類の保存方法であり、合わせて覚えておきたい言葉です。以下に特徴を記します。

[HDD]
(メリット)
・安価で大容量のデータを保存できる

(デメリット)
・ディスクの高速回転により音と熱が生じ、物理的な経年劣化が進むといった問題がある
・衝撃でディスクに傷が付くと中のデータが一部壊れる可能性がある

[SSD]
(メリット)
・データの読み書き速度がHDDより高速
・無音・無熱

(デメリット)
・HDDよりも割高
・衝撃には強いが故障時は前触れなく全データが消える

また、ストレージメモリは内蔵のものだけでなく外付けを併用することもよくあります。外付けHDDやUSBメモリなどを使っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? 外付けのストレージは例えるならば、机の引き出しがいっぱいになったので新しく棚を買い足すようなイメージです。

引き出しや棚といったデータの保存・保管をする場所。それがストレージメモリです。

キャッシュメモリとは机で言うと「付箋」です。

キャッシュメモリはCPUの中に含まれるメモリのことで、机で言うとメモとして貼ってある付箋のようなものです。

メインメモリとストレージメモリはそれぞれ独立したパーツですが、キャッシュメモリはCPUの中にあり、CPUがデータを呼び出す手助けをしています。

ファイルを読み込む際、通常だとCPUがストレージメモリに行きデータを受け取ってメインメモリに持ってきます。ですが、ストレージがデータを探すのに時間がかかるので、より速くデータを持ってくる方法としてキャッシュメモリが搭載されるようになりました。

キャッシュメモリは使用頻度の高いデータを少量だけ保存しておき、そのデータについては非常に速い速度で読み込むことが出来ます。

いちいち引き出しを開けて探すよりも、よく使うものであれば付箋のようにわかりやすいところに貼っておくことですぐに必要な情報が確認できますよね。キャッシュメモリにはそういった機能があるのです。

なぜ同じ「メモリ」という言葉を使うのか?

このように同じメモリでもそれぞれの役割はまったく異なります。役割の違いがわかれば使い分けは難しくありません。先ほどよりもメモリについて理解が深まったのではないかと思います。しかし、それではなぜこのような紛らわしい使い方をするのでしょうか?

それに対しての明確な回答はわかっていません。ですが、実は同じようなことが私たちの日常には当たり前のように存在しているのです。

私たちは当たり前のように、筆箱の中にある「シャープペン」「ボールペン」「マジックペン」を使い分けます。どれも同じ「ペン」という呼び方をするにも関わらずです。

また、飲み物を入れる「コップ」についても、ドリンクによって「グラス」「マグカップ」「コップ」を使い分けています。そう考えると、パソコンのメモリだけが複雑な使い方をしているわけではないことに気付きます。

ましてやパソコンはデータをもとに全てが行われます。OSやアプリケーション、ファイルといったものは全てデータです。そうなると、データに関するメモリという言葉も多くの場所で登場することもある意味自然ではないかと思います。

ペンやコップを当たり前のように使い分けていて、なぜパソコンのメモリだけ複雑に感じるのか? それは違いを認識しているかどうかの差です。メモリについても違いがわかっていれば他のもののように日常の中で使えます。

先述したそれぞれの説明を理解していただけていれば、それぞれのメモリの違いについての認識は深まったはずです。これからはそこまで困ることなく、メモリの違いを使い分けられるのではないでしょうか。

また、各メモリの役割の違いがわかることでパソコンのスペックについても詳しくなります。それは問題が生じた時の対処方法にも繋がるでしょう。

例えば、メモリがいっぱいでファイルやアプリをこれ以上入れられないという問題が発生したとします。メモリの違いを理解することにより、保存領域である「ストレージメモリ」に原因があることがわかるかと思います。
つまり、PC内のストレージメモリを増設したり外付けストレージを使うことで保存領域を拡大させることにより問題を解決することができるというわけです。

また、ファイルの読み込みやアプリの起動が遅いという問題には、データの処理スピードを左右するメインメモリやキャッシュメモリを含むCPUの性能に問題があるのではないかと推測できます。それらのパーツの換装を行うことでより快適に使うことができるようになります。

メモリはパソコン内のデータを管理する非常に重要な要素です。違いを認識し、使いこなせるようになりましょう。

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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