無線が干渉してしまうって、どういうこと? 無線機器を使いたい場合のポイント

無線が干渉してしまうって、どういうこと? 無線機器を使いたい場合のポイント

パソコン同士やパソコンとインターネットを接続するための無線LANを代表に、無線が使用されている機器は多くあります。
特に昨今ではキーボードやマウスなども無線タイプのものが多くなってきました。

これらの機器はケーブルが必要でなく、設置場所を比較的自由に選べるという点で優れています。
しかし、無線使用時にも注意するべき点があります。

それが「無線干渉」です。

ケーブルを使用している有線接続なら、ケーブル内でやりとりがされるため外部から干渉を受けることはほぼありません。
しかし、無線の場合には干渉を受けてしまう可能性があります。

ここから先では、無線機器を使用しようと思っている方に向けて、無線干渉に関する様々な情報を紹介します。

最初に紹介するのは「無線が干渉すると何が起こる?」という点についてです。
無線干渉が発生した場合に、どのような問題が起こるのかについて紹介します。
問題の内容が自分にとってそれほど大きなものではないと感じれば、対策する必要が薄いこともあるためです。

次に紹介するのは、「無線干渉の原因の1つ、近しい周波数の電波」についてです。
無線干渉を引き起こしやすい原因の1つとして、別の電波があることを紹介します。

3つ目に紹介するのは「無線干渉の原因の1つ、障害物」についてです。
無線も物理的な現象を使用しているものであるため、障害物による影響を受けることがあります。
無線周波数と障害物の関係から、障害物による無線干渉について紹介します。

そして最後に、「USB3.0と無線干渉」について紹介します。
これは他のものに比べると限定的な原因ではありますが、意外なところにも問題が潜んでいることを紹介します。

無線が干渉すると何が起こる?

無線干渉が発生すると、大きく3つのことが起こる可能性があります。
①通信速度の低下
②通信の切断
③通信ノイズの発生

①通信速度の低下

まず、通信速度の低下についてです。これは特にインターネット接続のために無線を使用している場合に顕著な症状です。
無線LANでインターネット接続をしているとき、普段よりも速度が遅いと感じることがあります。
こういった場合には無線干渉が影響している可能性があります。

ただし、インターネットの通信速度低下は無線干渉だけが原因となっているものではありません。
時間帯などが影響を与えている可能性もあるため、他の原因がある可能性も忘れずに考えるようにしましょう。
この先の記事で示されているような方法で無線干渉を解消しても、症状が改善しないことはありえます。

②通信の切断

次に、無線通信の切断についてです。これは無線干渉の症状の中でも特にわかりやすく、突然接続が途絶えてしまうものです。
同じ性質を持った電波が飛んでいると、電波同士がぶつかって停止してしまうため、 接続が途絶えてしまいます。

例えばインターネットへの無線接続が途切れてしまったり、無線LANを使用したデータ転送が途切れてしまったりします。

このような症状が発生すると、ダウンロードやアップロードが中断されてしまい失敗する可能性があります。
また、データ転送の場合にはデータ破損が発生し、読み取れなくなってしまう可能性もあります。

無線タイプのキーボードやマウスを使っていると、一時的に入力を受け付けなくなることがあります。

③通信ノイズの発生

最後に、通信ノイズの発生についてです。

他に比べると症状がわかりにくいのですが、特に発生していることが分かりやすいのは無線のヘッドホンなどを使っている場合です。
音質が悪くなったり、音飛びが発生したりすることがあり、無線干渉が発生していることがわかります。

また、分かりにくいもののデータ転送等の場合にも発生する可能性があり、データの一部分だけ転送に失敗することがあります。
こうなるとファイルが使用できなくなる可能性もあるため、大容量のデータ転送の際には特に注意しなければなりません。

無線干渉の原因、1つは近しい周波数の電波

無線干渉の原因として考えられるのが、近しい周波数の電波です。
同じような無線が使用されている場合、その電波に邪魔をされる形で電波干渉が発生してしまうケースがあります。

無線の周波数は無線機器によって決まっていて、これが近いものが多いと干渉を起こします。
一般的に無線接続で使用されている周波数は2.4ギガヘルツと5ギガヘルツの2つで、無線干渉のしやすさに違いがあります。

無線干渉が発生しやすい2.4ギガヘルツ

2.4ギガヘルツの電波は、無線干渉を起こしやすい傾向があります。
2.4ギガヘルツの電波は、チャンネルが13個存在しています。

しかし、チャンネルごとの幅が5メガヘルツという狭い間隔であるため、1つのチャンネルだけでは十分な通信が行なえません。
そのため、通常は1つのチャンネルを中心チャンネルとして選択し、その左右のチャンネル2つについても接続に使用します。

例えば、3を中心チャンネルとした場合、1から5までを使用する、という形です。
このような形式をとっているため、13チャンネルで全く重なり合わないようにできるパターンはかなり少ないことになります。

2.4ギガヘルツの無線を使用する機器を5つ6つと使用すると干渉を起こしてしまうのはこのためです。
自宅で使用しているものだけではなく、近隣住宅で使用しているものも干渉を起こす可能性があります。

さらにもう1つ、2.4ギガヘルツの無線の場合には周辺機器だけではなく、その他の電気機器による電波の影響も考えられます。

特に代表的なのが電子レンジです。電子レンジは稼働中に2.4ギガヘルツに近しい強い電波を発生させます。
普段は問題なくとも、電子レンジを使っているときだけ他の無線機器が全く反応しなくなることもあります。

無線干渉が起きにくい5ギガヘルツ

対して、5ギガヘルツの周波数を使用している電波は、あまり無線干渉を引き起こしません。

まず、無線LANを除いてこの周波数帯を使用している機器がほとんどないのが理由です。
その上、この電波の性質自体も2.4ギガヘルツの無線に比べて干渉を起こしにくい性質を持っています。

2.4ギガヘルツ帯では13だったチャンネルが、こちらでは19チャンネルあります。
その上、1つ1つのチャンネルの幅が20メガヘルツと広く取られているため、左右のチャンネルを使用することがありません。
1つのチャンネルだけで独立して使用できるようになっているため、同チャンネルでの干渉が起きにくい性質があります。

無線干渉の原因、障害物が問題になっていることも

もう1つ、電波干渉の原因として考えられるのが、障害物です。
電波も物理的な法則によって通信を行っているため、障害物を透過できるわけではありません。
障害物がある場合、電波は「回折」という特性によって回り込もうとします。

これは、障害物にぶつかったときに、それを越えて行く性質です。
ただ、この回折がどの程度発生するのかは、電波の周波数によって違う、波長の長さに影響されます。

周波数の数字が大きいものほど、波長は短いことを意味しています。
例えばよく使用される2.4ギガヘルツの電波と、5ギガヘルツの電波では、前者の方が波長が長いということです。

そして、波長は長いものほど回折が発生しやすくなります。
回り込むことができる距離が波長の長さによって長いため、大きな障害物でも越えやすくなっているためです。

波長が短い電波はその代わりに直進性が高い性質を持っています。
そのため、2.4ギガヘルツの電波よりも5ギガヘルツの電波の方が高速で通信が行なえます。

つまり、障害物が多い場所では、2.4ギガヘルツの電波の方が有利になります。

対して、障害物が少ない場所では、5ギガヘルツの電波の方が有利になります。

無線を使用する環境に合わせて、どちらの周波数を使用するのかを決定しましょう。
無線ルーターによっては周波数を選べるようになっているため、両方試してみるのも1つの方法です。

USB3.0が原因になることも?

ここまでに紹介してきた無線干渉は、無線側に問題があって発生しているものでした。 しかし、それとは違ったケースで無線干渉が発生することがあります。

それが、USB3.0による干渉です。
USB3.0とは、現在使用されているUSBケーブルの規格の1つで、有線接続のために使用されるものです。
有線接続が無線に干渉を与えるのは何故なのでしょうか?

USB3.0は、ケーブル内部で2.5ギガヘルツのノイズを発生させています。
通常はケーブルやアダプターにシールドが付いているためノイズが漏れ出ることはありませんが、これが不十分だと漏れてしまうことがあります。
2.5ギガヘルツの電波は、一般的に無線接続に使用されている2.4ギガヘルツに近いため、干渉を起こす可能性があります。

使用している無線が5ギガヘルツなら、干渉が起こる心配はありません。
しかし、2.4ギガヘルツの無線を使用している場合には、干渉の可能性があります。

USB3.0による干渉への対策

USB3.0が引き起こす無線干渉への対策としては、大きく3つの方法があります。
①シールドのしっかりした、品質の高いケーブルを選ぶ>
②無線規格を5ギガヘルツのものにする
③無線の受信機をUSB3.0機器から離れた場所に設置する

まず、安いからという理由だけで品質の怪しいケーブルを使わないようにすることが大事です。
シールド加工が不十分だとノイズが漏れる可能性が高くなり、無線干渉の可能性も高くなります。

また、シールド加工というのはケーブルに施されている電磁波を漏出させないための加工です。
主に金属膜を貼る形で行われます。

次に、できるなら無線規格は5ギガヘルツのものとしましょう。近い周波数ではないため干渉が起こりません。

最後に、上記の対策ができない場合には、無線の受信機をできるだけUSB3.0のケーブルやアダプター、機器類から離れた場所に接続させましょう。
ノイズはそれほど遠くまで影響を与えるものではありません。

無線干渉に関するまとめ

無線機器はケーブルが必要なく接続できるため、非常に便利なものです。

しかし、目に見えないだけに原因がわかりにくい障害が発生しやすく、対策が難しいものでもあります。

無線は干渉する可能性があることを前提として接続環境を考えるのがよいでしょう。
まとめると、干渉が発生してしまっている場合には、以下の3つの方法を試すことで改善する可能性があります。

①同じ周波数の電波を減らす
②無線送信機と受信機の間の障害物を減らす
③USB3.0のケーブル、アダプター、機器から受信機を離す

※記事内の商品価格は弊社にて確認した時点の価格を表記しております。金額や内容の詳細は公式サイトをご確認ください。

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